キャミィのハロウィン衣装の元ネタ(推定) 2024/10/25Posted 2025/7/11 Last update B! P L すでに過去の作品になった『ストリートファイターⅤ』の話。 DLCコスチュームの中にはハロウィン衣装があった。 今回はそのハロウィンネタのうち、キャミィの衣装について憶測込みでまとめる。 おおまかな結論はこの記事で完結するが、さらに追究した記事はこちら→深掘りするキャミィのハロウィン衣装の原典とストⅤナッシュ話 ## ハロウィン衣装の定番 ハロウィンの仮装は人外モチーフが多い。 吸血鬼,ゾンビ,狼男,骸骨,フランケンシュタイン(博士が死体から造った怪物)etc。 魔女と魔法使いは人間と人外のどっちに含めていいのかわからないがそれも定番。 御多分ごたぶんに洩もれず、ストシリーズのハロウィン衣装も定番にのっとったデザインが多い。 ↓の『ストⅤ』公式お知らせページに第一弾のハロウィン衣装のスクショがある。見たことない方はどうぞ。 隊員へのお知らせ Happy Halloween!-2016- ハロウィンコスチューム ### 回収されたフランケンネタ ナッシュにもハロウィン衣装がある。 もともと『ストⅤ』でツギハギだらけになった見た目に、追加でこめかみにボルトが刺さった。 やっぱりフランケンシュタイン的な格好になっていた。 それ以外の選択肢がないようなサイボーグ人間なので予想通りの展開。 公式サイトでも元からゾンビでしょと制作者にイジられていた。 上記のリンク先は個別の衣装ページに直接リンクを貼れなかった。「ハロウィン」と書かれたアイコンを選択すると確認可能。 ナッシュと同じタイミングでキャミィにハロウィン衣装を追加された。 ## 明かされないゾンビの花嫁のモチーフ キャミィには青白い肌のゾンビな花嫁コスチュームが割り当たった。 *ゾンビはわかるけどなんで花嫁?* と思う人はいたはず。 そういうプレイヤーの感想を見かけた。わしも思った。 制作者によるコメントに元ネタの匂わせはない。以下キャミィのハロウィン衣装のページのスクショ画像。 公式サイトに掲載されたアシダ隊員のコメントも転記する。 >ゾンビ花嫁なキャミィです。クールなお肌がとってもビューティー。 そんな彼女の横に立てる相手を求め夜な夜なさまよい歩いてるとか… バートナーを探している設定の衣装だそう。 こういうのを タッグパートナーか? と解釈するのは『スト6』のザンギエフ仕草。 果たして衣装の元ネタはなんなのか。 そしていったい誰がキャミィの横に並び立てるお相手なのか。 ### 元ネタがない可能性も ハロウィン衣装が配信される2016年までに、現実の人物がハロウィン用のコスチュームとして人外な花嫁に仮装する事例はあった。 一例がアメリカの女優のキルスティン・ダンストによるゴースト花嫁→【2014 Vol.3】今年もやります! セレブのハロウィンコスプレ 他にも2013年に花嫁ゾンビのコスをしたという日本のアメブロ記事が引っかかった。有名人なのかよくわからない方のブログなのでリンクは控える。 メジャーではないがマイナーというほどの衣装じゃない、と考えると、制作者はこれといった元ネタをベースにしていないのかもしれない。 以下、主題と関係ない雑談を折り畳みにする。 キルスティン・ダンストと吸血鬼と仮装 キルスティン・ダンスト氏は1994年公開の映画『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』で吸血鬼にさせられた少女・クローディアを演じた。 彼女はクローディア役で一躍有名になったと評判。なおわしはこの映画を見たことは無い。 ダンスト氏のことは初代映画『スパイダーマン』から3までのヒロインのメリー・ジェーン・ワトソン(MJ)役で知ったという人もいる。そっちならわしは見た覚えがある。 ダンスト氏は吸血鬼に縁のある人。しかし、ハロウィンの仮装で吸血鬼に扮したことはないらしい。 はっきりした情報は2024年の魔女のほか、2009年と2011年と2013年と(2014年のゴースト花嫁)と2008年の写真がredditのKirsten Dunst in Halloween costumeに投稿されていた。 仮装の選出動機は不明とはいえ、吸血鬼のコスプレをしないのは適切な判断のようにわしは感じた。 『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』のクローディアは大人に成長できないことを嘆く永遠の少女。 見る人に大人になったクローディアだと連想させる余地を、下手に与えないほうが無難なのかもしれない。映画の少女像を永遠のものにするために。 #### お相手候補はいない可能性も ゾンビ花嫁にふさわしいパートナーは想定されてないことも考えられる。 ソシャゲでは恋人候補がいないキャラにも季節イベントにウェディング衣装版を出すことは多々ある。 キャミィに花嫁の仮装をさせたかっただけかもしれない。 とくに『ストⅤ』においてウェディング衣装は春麗のみ実装しており、他のキャラには同一テーマの衣装が用意されなかった。 花嫁企画ができない中での抜け道がゾンビ花嫁、なんてこともありそう。 ## 相手候補のモチーフによって元ネタ判明なるか ただもし、公式から出た情報から考えるとしたら。 たぶんハロウィン衣装のある格闘家が候補になる。 普通はコンビになりうる相手と同じテーマで衣装を揃えたいと考えるはず。 そのうち、ゾンビなキャミィと一緒にいるとピッタリお似合いに見える人物はだれか。 それが絞りこめればゾンビ花嫁の元ネタにたどりつけるかもしれない。 ### 候補筆頭の吸血鬼バルログ 同じ追加弾でバルログも衣装が当たった。ドラキュラ伯爵チックな格好。 原作上のキャミィとバルログとの関わりは『ZERO3』からある。 『スパⅡ』期も中平正彦氏の漫画『スーパーストリートファイター2 キャミィ外伝』でキャミィのライバルな感じでバルログが登場した。 中平氏の漫画の影響なのか、以降はバルログがキャミィに気があるセリフを言うようになる。 そして二人のカップリングはプレイヤー間で取り沙汰されるようである。 そういう客事情があるのでキャミィのお相手がバルログ想定もアリなように配慮された、とわしは思う。 #### 薔薇の意匠 ゾンビ花嫁衣装の腰や左腕部分には薔薇の蔓つるが巻きつき、花が咲いている。 バルログが好きな薔薇をキャミィのコスチュームに取り入れてあるのも配慮の一貫かもしれない。 または単純に、花嫁の持つブーケに薔薇がよく使われることの代替表現もありえる。 そこはデザイナーさんに聞かないとわからない。あまり話に関係ないが、脱衣Verだと薔薇は全撤去になる模様。 とにかくバルログがキャミィのカップリング候補の第一有力者である。 ”第一”ってことは第二がいるのか? と思った人は話が早い。 吹けば飛ぶような弱小勢力かもしらんが『ストⅤ』が出る何年も前からいる候補者だ。 ### ガンスパイク限定のコンビ わしは制作者の衣装コメントを読んだ際「キャミィの横に立てる相手? *ナッシュか?*」と素で思った。 本当に二人が物理的に横に配置されることがあったからである。 それが『ガンスパイク』のドリームキャスト版のパッケージの表と裏。 パケ表は偶然隣り合った感じがあるものの、パケ裏はこの二人だけの選出。 パケ裏の構図はなんらかの意図を感じる組み合わせだった。 いくら『ガンスパイク』のころはニコイチかのような雰囲気があっても、のちの作品ではそう扱われないこともある。 その最大の事例が『TEPPEN』。『ガンスパイク』イベントでナッシュがハブられていた。この件は以下の別記事でくわしく解説する。 もっと読むカプコンのオールスターゲームなTEPPENのガンスパイクネタ #### セット理由推測 なぜ『ガンスパイク』のナッシュとキャミィが並ぶかといったら、きっとこの二人が宣伝に使いやすかったから。 5名のデフォルトキャラクターの中では有名なキャラ+美男美女ゆえに。 知名度では『魔界村』のアーサーも抜きんでていると思うが、『ガンスパイク』独自仕様の高等身なキャラデザは『魔界村』のアーサーらしくない。宣伝向きとは言えなさそう。 #### ゲーム内では表現されないバディ設定 『ガンスパイク』の人物紹介において、二人はバディを組んでいる設定がある。 こっちの世界のナッシュはキャミィのサポートをするために米軍からきたことになっていた。 設定の関係上、ささやかながらこの二人を推すファンも見かけた。 しかし原作のストーリーがあって無いような内容(※not親父ギャグ)。 そのうえ、たがいに仲間としての信頼関係がある描写に留まっていた。二人に浮ついた感情はない。 バルログほどの強い矢印は双方ともに無いのである。 #### 本家シリーズでは敵対 ストシリーズの二人の関係は一言で表現すると*険悪*。 『ZERO3』だとキャミィが、『ストⅤ』だとナッシュが相手に敵意強めに接していた。 なんでそんなに仲悪いのん? と疑問に感じた人向けに、一文で説明をおさめるとこうなる。 『ZERO3』キャミィ ベガの支配下にいたためベガの邪魔をするナッシュを始末する命令を受けた。 『ストⅤ』ナッシュ 坊主憎けりゃ袈裟まで憎いの精神で元ベガ配下のキャミィに辛辣。 だいぶ端折ったがこんな感じ。 『ガンスパイク』の世界とは打って変わって不穏な関係。温度差で風邪をひきそうだ。 お友達からのお付き合いさえ無理そうな相手が花嫁のお相手候補とは無茶な話である。バルログも性格的に友達になれなさそうだが。 ただし敵意を向けられる側の態度、つまり『ZERO3』ナッシュからキャミィへ、『ストⅤ』キャミィからナッシュへの対応には嫌う感じはない。 二人ともガイルとは親しい関係にある。精神状態が良好なら不仲にはならなさげ。 ## 古典作品からの連想 ちびっと自分語りをする。 キャミィのハロウィン衣装を知ったときのわしはとある古い小説を思い出した。 それは19世紀のメアリー・シェリー著の怪奇小説『フランケンシュタインの怪物』。 その一場面には、死体から創造された孤独な怪物が、自分の妻になりうる怪物を造ってほしいと生みの親(=フランケンシュタイン博士)に訴えるくだりがある。 そのシーンから出てきた花嫁ネタなんだろうかとうっすら思いついた。たぶんわしの思考がナッシュ優先なせい。 でもこれだけじゃ証拠はなんにもない。 小説の中では結局、女版の怪物は出てこなかった。 ほならちゃうかー、とわしはこの想像をほったらかしていた。 ### ゾンビ花嫁が登場する最古?映画 わしは偶然、映画『フランケンシュタイン』シリーズについて知る機会があった。 そのシリーズ最初の映画は1931年のユニバーサル・ピクチャーズが製作した有名作品。 映画の一作目は大筋が小説に基づいたストーリー。でも改変部分もある。 怪物は原作小説だと知恵が回った。人並み以上に物事を理解する力があった。 生みの親に自分の妻を造るよう強要したのも、人間と動物を観察した結果、男女がつがいとなって生涯をすごすものだと考えたからだった。 怪物の知恵者な側面を映画で変更し、現代日本にも広まる知能の低い怪力の大男なフランケン像を打ち立てた。 この映画は非常に人気を博し、その後はオリジナルの続編が作られるようになった。 二作目が1935年『**フランケンシュタインの花嫁**』(原題:**Bride of Frankenstein**)。 小説にはなかった、怪物のための伴侶を死体から造るシーンがある。 結末がどうなったかは興味を持った各自が見てください。 とりあえずゾンビな花嫁が登場する作品があることだけ知ってもらえばよし。 #### 博士と怪物の呼び名にまつわる細かい疑念 本記事のテーマとは関わらない些事さじに触れる。 本来、フランケンシュタインとは怪物を生み出す博士の名前である。 国を問わず怪物のほうをフランケンシュタインと呼ぶケースは多いものの、怪物自身の名前は原作小説に存在しない。 映画一作目の『フランケンシュタインの怪物』は、フランケンシュタイン博士の造った怪物が起こす騒動の話だからこの題名でいい。 しかし二作目の『フランケンシュタインの花嫁』は、この書き方だと*怪物でなくフランケンシュタイン博士の花嫁がメインの話*になるべきでないのか? とわしは疑問に感じた。 このころからすでに博士の名前と怪物の混同が始まっていたのだろうか。 ### 2005年映画のコープスブライド 映画『フランケンシュタインの花嫁』のほかにも、死人の花嫁が登場する有名な作品がある。 ティム・バートン監督による2005年の長編アニメ『**ティム・バートンのコープスブライド**』(原題:Corpse Bride/Tim Burton's Corpse Bride)。 ロシアの民話を元にした物語……らしいが、わしの調査範囲では元ネタの民話が見つからなかった。 この映画は日米ともに有名だった。制作者の中にリアルタイムで見た人もいそう。 こっちのゾンビ花嫁はアグレッシブに新郎に言い寄る。 そういう自発性はハロウィンキャミィのパートナー探しの設定とも合致する。 それにこの花嫁は花嫁らしいウェディングドレスを着る。『フランケンシュタインの花嫁』の女怪物はドレス姿と言えるがウェディングな格好とはちょっと違った。 素直に考えたら『コープスブライド』がキャミィのコスチュームの元ネタっぽい。 一部、体の白骨化が進んでいるところがハロウィンキャミィと違うけど。 ## まとめ 人外な花嫁のハロウィン衣装は『ストⅤ』のDLCが出るまでに世間に存在していた。 それとはべつに、知名度のある死人な花嫁が登場する映画作品があり、それらがキャミィの衣装の着想元になった可能性がある。 とはいえ制作者が元ネタをどうとも発言していない以上、結論は出ない話である。 スタンダードでないハロウィンモチーフの花嫁衣装にモヤモヤしていた人は先述の仮説2種(『フランケンシュタインの花嫁』or『コープスブライド』が元ネタ)を信じてもいいし、元ネタなんかないという人もそれでいい。 自由に解釈しよう。 この衣装ネタについてさらに突っ込んだ追究をした記事がある。余力のある方は見てってください↓ もっと読む深掘りするキャミィのハロウィン衣装の原典とストⅤナッシュ話 ストシリーズの雑学系話 サガットの体重―スト1から海外版の設定に至るまで紹介&考察 サガットの体重―現実の長身格闘家や低体重者ほか ナッシュとZEROのカラーリング事情―ガイとソドムの色変遷も紹介 Street Fighter #キャミィ #ナッシュ #バルログ #浅広雑学