ナッシュの美形設定の有無
以前に公開した記事のナッシュのデザインとジョジョの奇抜な髪型人物では、ナッシュの前髪のモデルについて話題にした。
参考になったキャラが『ジョジョの奇妙な冒険』に登場する花京院典明だと『ストリートファイターZERO』制作者の一人が明かしている。
今回は前髪以外の見た目で花京院から影響を受けていそうなことをテーマにする。
タイトル通り美形か否かということ。
趣旨の前置き
花京院といえば漫画中に明言はされないが美形であることが周囲の女性の反応によりうかがえるのだそう。わしは『ジョジョ』ほぼ未読につきネットの伝聞情報で知る。
ナッシュも『ZERO』制作者からの美形発言は特になかったものの、他の男性格闘家とくらべて凹凸のすくない顔立ちやキザたらしい勝利ポーズ(森川智之Voiceで「Too easy!」と言う)を見ると、美形として描かれていた感じがする。たぶん。
わし個人の印象では美形だと思ってなかったがその話は別件でする。
ほぼ美形前提の話になるとはいえ、「これは本当に美形のつもりで描いたのかな?」と疑問に感じた絵もある。
わしの美醜基準がイビツな可能性もあるのだが、そのへんは読者の判断に任せる。
※2025年3月6日、『ALL ABOUT カプコン対戦格闘ゲーム 1987-2000』という書籍にはナッシュが美男であることが書かれていたとの情報をまとめた→追加情報―誌面におけるナッシュの美形言及
海外のファンサイトのギャラリー
ナッシュの公式イラストをすべて紹介するのは無理がある。
一通り見てみたい人はFandomのCharlie Nash/Galleryをのぞいてください。
公式が出したすべての絵を置いてはいなくともナッシュを知るのに充分な数はある。アメコミのワンシーンもあって日本では見る機会のとぼしい内容も載る。
見てきた人は、どう感じるでしょう。
カッコいい? 美形? 普通? 変態?
いろいろ感想はあることと思います。その気持ちは大事にしてください。これからの話を読んでいくとちょっと揺らぐかもしれません。
補足閑話:Pose.の絵の使われどころ
リンク先のZERO(=Alpha)絵置き場にある「Pose.」と説明書きされるドット絵。
詳細がないのでわしが解説すると『ZERO2』オープニングに出てくる絵です。
OPには対戦前後に表示される顔アイコンの出演(つまり素材流用)で終わるキャラもいる中で、これだけのために用意された。
そういう部分では待遇のいいキャラだった。エンディングは可哀想だけど。
OPのドット絵だ、とは説明できても、なんの動作を表したポーズなのかはよくわからない。
スタイリッシュに腕時計を見ているのだろうか?
『ジョジョ』リスペクトなキャラなら、多少のけぞりながらの時刻チェックもしそうだという妙な説得力をわしは感じている。
もっとも美形に遠い公式絵
ナッシュのだいたいの公式絵を読者が知ったことにしておいて、美形そうに見えない絵をピックアップする。
選出は、おそらくカプコンデザイナーの中でも最多でナッシュを描いたであろうBENGUS氏の絵。
『ZERO1』と『ZERO3』のプレイアブルキャラクターの全身絵をすべて描いた『ZERO』メインデザイナーであり、前記事の制作者ポストのことも考えると、暫定ナッシュの大枠のデザインを描き起こした発案者。
なお『ZERO』でナッシュのキャラデザを担当した人は誰なのか正確な情報は見つからない。
主題に関係ないが『ZERO2』の全身絵は『ジャス学』や『モンハン』デザイナーとして活躍するえだやん氏が『ZERO1』既登場キャラを描いていた。
つまり『ZERO2』ナッシュの全身絵はえだやん氏の作。
見分けのついた人はいるのだろうか? プレイ当時のわしはギャラリーモードにある絵と違う人の絵だなんて絶対気づいてません。
美形に見えにくいマブカプ2
『ZERO』メインイラストレーターのBENGUS氏は2000年2月24日にリリースされた『MARVEL VS. CAPCOM 2 NEW AGE OF HEROES』(マーヴル バーサス カプコン ツー ニューエイジ オブ ヒーローズ)の絵も描いていた。以下『マブカプ2』と表記。
同作のナッシュ絵は口を開けたものと閉じたものの2種類がある。
そのうち、口を閉じた絵はアゴが大きすぎて美形でないと感じた。以下がその絵。次の項目との兼ね合いにより切り取らずに貼る。
なぜそんなにナッシュのアゴの面積を広くするのか?
これでシャクレていたら『クッキングパパ』の荒岩一味になりそうである。
『ZERO』のナッシュもエラが発達したたくましいアゴに描かれることはあったが、これは……非美形の面構えではなかろうか?
なにか理由があるのだろうか。
口の開閉差分絵・・・でなかった
日本のアニメでよくある、口だけを動かす絵。登場人物が話すシーンで使われやすい。
あれは口の開閉状態に関わらずアゴのラインが同じに描かれることがある。
アゴを動かさずに話す行為は腹話術でもないかぎり不可能といえど、作画コストを抑えるためのお約束的表現である。
仮に前項の面長すぎるナッシュ絵が、アゴの線画を変更せずに口を開けたバージョンも作られた差分絵だとしたら、口を閉じた状態ではアゴがやけに縦長になることもありうる。
比較のために口を開けているナッシュの絵を貼る↓
大口開けてます。アゴのラインが服に隠れています。こっちは普通にカッコイイ。
このナッシュ絵は口閉じ絵と違い、背中がよく見えたり前に出す足が逆になったりしている。
二つの絵に共通する部分がないためイチから新たに描かれた絵である。
リミテッドアニメに使われる手法とはぜんぜん関係が無い。
純粋に大きく描かれたアゴ
差分のことなぞ考えずに描いた絵でロングロングアゴーなナッシュがお目見えした。
これは予算的な言い訳がきかない。
裸ベストや花京院的な前髪だけではキャラが弱いからとアゴまで個性を得ようとしたのか?
ナッシュはシャクレアゴのアドンと対をなすようなアゴキャラになったのか?
眼鏡の外見属性もあるのに欲張りじゃないか?
まるで多くのメニューを追加するも看板メニューが依然として親子丼一つだけななか卯のごとき迷走を始めたのか?
……といったことはきっと起きていない。
描くイラスト(全キャラ56体×2そのほか色々)が多くて細かい修正をする余裕がなかったんでないかと思う。
『ストⅤ』もそうだけどBENGUS氏の仕事量が多すぎません?
スピードを求められ続けたらそりゃ簡略化された絵柄に変わっていきますわいね。
BENGUS絵以外の判断要素
ナッシュの公式絵、特にBENGUS氏の手によると描き方の振れ幅が大きい。
誰がどう見ても美形に扱われた証拠はあるか、というと確定らしい描写が『ストⅤ』にあった。
ストⅤのいぶきのセリフ
ナッシュ復帰作の『ストⅤ』では面食いないぶきちゃんが参戦した。
いぶきは過去作で美形キャラなケンやフェイロンを恋人の候補として品定めするかのようなセリフを残していた。
改造人間なⅤのナッシュにも、対戦したあとの勝利セリフで「顔も声もカッコいい」と言ってくる。
いぶきがそう評価するからには、公認の美形であり美声(CV.鳥海浩輔)ということらしい。
『ストⅤ』で正式に美形キャラに扱われたようである。アゴキャラじゃなかった。
花京院的な美形判断に落ち着く
記事冒頭にも載せたが、花京院は美形だと断言されてはいないそう。
その代わりに女性の反応で美形だとわかる演出があると評判。
ナッシュも、『ZERO』スタッフからのはっきりした美形設定を告げられないままに作中女性(いぶき)の反応で美形らしいとわかった。
そういうところも花京院に近付けさせたのだろうか。それとも偶然か。
褒めていてもその気はなさげ
ところで抜粋したいぶきのセリフだけを読むと、まるでいぶきがナッシュに異性としての関心があるかのよう。
しかし本来のセリフの全文はこうだった。
顔も声もカッコいいけど、なんか……怖い。
容姿だけでなく声まで褒める珍しい絶賛のわりにいぶきの反応は渋い、というかドン引き気味。
原因はⅤのナッシュが全方位に敵意をまき散らしていたせいである。
ようはナッシュが狂暴だったのでいぶきが怖がっていた模様。
あいにくこの二人に恋は芽生えなさそうです。
女性絵師からは安定して美形に描かれる
『ガンスパイク』のメイン絵師の西村キヌ氏、未発売となった『カプコンファイティングオールスターズ』(以下『CFAS』)のメイン絵師の北千里氏。
この二人もナッシュを描いたことがあった。
こちらの二作品においてナッシュはケチの付けようのない美形に描かれていた。
え、『ガンスパイク』二人プレイ用バレッタENDのナッシュ? あれは状況が状況だから……
キヌ絵ナッシュと北絵ナッシュがどんなのかは冒頭のほうにリンクを貼ったサイトの「Capcom Games」で確認可。
スマホで見ると該当タブに飛べない様子。その場合は「Cannon Spike」でページ検索したら『ガンスパイク』の絵&『CFAS』の絵の近くまでいけます。
『ガンスパイク』の絵はナッシュが普通な服の着方をしているやつです。わかりやすいね!
ただキヌ絵ナッシュはタレ目っぽい。そこがいつものナッシュと違う。
END絵(たぶんイケノ氏の作?)はツリ目気味だったのでタレ目キャラに変更されたわけではなさそう。
ストⅤ公式サイトのCFASの絵
『CFAS』の絵は『ストⅤ』公式サイトにも掲載中。北千里氏の描いたナッシュ絵は、
ファイティングオールスターズ資料 前編にキャラセレ絵,
ファイティングオールスターズ資料 後編に顔アイコンが他の参戦キャラと一緒にまとまっている。
よかったらほかの画像も一緒に見てきてください。後編の赤い絵の中央左側にちびっとナッシュが描かれています。
前編にあるリアル調な絵は元SNK絵師の森気楼氏の作です。ゆうて北氏も元SNKの人ですけど。
わしのゲーマー感覚だと『ファイアーエムブレム』感のある絵群。
知っている人もいるだろうけれど北氏は『FE 蒼炎の軌跡』と『FE 暁の女神』のイラストを担当した。
この二作は『スマブラ』にも登場するアイクの出典元。
FEっぽい、とわしが言ってもそれは制作当時の感覚だと違う話になる。
『CFAS』の絵を描いたころの北氏はまだFEシリーズと関わっていない。
『CFAS』制作中止になったあたりで『FE 聖魔の光石』(蒼炎の一つ前のシリーズ作)にドッターとして参加していた模様。
CFAS絵に禁断のAI拡大処理とツギハギ
この顔アイコンの画像はサイズが小さい。1キャラ140×140ピクセル。
これじゃナッシュが美形か判断がつきにくいという人向けに、AIで画像を拡大処理したものを折り畳み部分に載せる。
活用したサイトはunlimited:waifu2x。使うModelはswin_unet/art。
当然オリジナルの絵とは違うのでそこは留意。
おまけで、公式サイトでは細長くカットされたキャラセレ絵の、左右部分も掲載された雑誌ページからその部分を抽出&公式サイト画像とドッキングした加工絵も貼る。
個人的には画像加工物の公開をあんまり良いことだと思ってない。『ストⅤ』のサイトに掲載された絵以上のものが今後現れる可能性は低いので苦肉の策。
たぶんこんな感じだったという雰囲気だけ味わってください。
加工した絵2種と感想
ここに載せる顔アイコンは4倍処理後に400ピクセルに直したもの。実際にいま表示されるのはおそらく320。
2倍の280はちょっと小さいけど4倍の560はデカすぎると感じたのでこうなりました。
めっちゃ美化されているナッシュ。
わしの北千里絵に慣れ親しんだ感性では全公式ナッシュ絵で一番の美形に見えます。
綺麗すぎてナッシュじゃない気もする。綺麗なジャイアンほどの別人じゃないけど当人比で美化120%な感じ。
当時の3Dポリゴンもカッコよくできていて、ゲームが稼働していたら女性人気が爆上がりしそうなまとまり。でも開発中止。なかなかうまくいかないもんです。
キャラセレ絵のはめ込み画像がこちら。
腕の主線が欠けているのはわしの切り取りミスです。雑誌の背景と同化していたことに気づかず。
直せるけどパチモン感あるほうが本物と勘違いされずに済みそうなのでそのまま。
ドッキングもとの雑誌画像はアスペクト比が『ストⅤ』サイトの絵と違ってたため目測で合わせました。色合いも違ってたけどベストの色に寄せました。解像度が違うのは一回印刷された絵からのコピーなのでしゃーなし。
雑誌画像そのままだと画質が粗かったのでこれも倍化できるサイトでノイズ除去してます。
顔アイコンで美化が入っていてもマッチョ度合は『ZERO』と変わりなかったようです。
でも筋肉量は『ストⅤ』より少ない。わしの感覚ではこれぐらいのマッシブさがナッシュらしいです。
わしのイメージだと
こんな感じのマッチョ差。ナッシュはガイルより細身だと思っていた。
『ZERO3』ドット絵はガイルと並べるとナッシュのほうが腕が細い。3サイズもガイルから-2センチずつな設定。
Ⅴ以降はほぼ同じマッチョ加減な模様。『スト6』内のイラストもガイルと体格が一緒なように描かれた。
お蔵入りになった『CFAS』が再始動できたらいいんだけどなぁ。
過酷な制作環境では変顔も混ざる
多数の絵でナッシュは美形に描かれたようである。
一部、(漫画内でも非美形扱いの)荒岩一味に対抗できそうな大きなアゴのナッシュもいた。
BENGUS氏は男女問わずアゴ面積を広く描くことがあったので許容範囲のアゴだったんでしょう、たぶん。
スピード勝負な仕事だったら多少の崩れは見逃すっきゃないんでしょう。
『ストⅤ』のストーリーモードの絵も全体的にその精神でした。もう『ZERO』の絵を描いてたころには戻れないのかもしれない。
方向性はがっしりアゴの美形
ベースは中性的にならない程度の男らしさを保った美形というのがナッシュだとわしは認識している。
『ストⅤ』のポリゴンも口元がいかつめになっていた。
それでいて美形っぽく見えるよう調整されてあったようにわしは感じている。
線を細くするとマッチョさと合わなくなる、ゴツくなりすぎると美形に見えない。
美形キャラは造形のバランスが難しいと素人ながらに思う。
花京院は全身緑な格好だったが・・・
今回はナッシュの匂わせ美形設定が花京院っぽいという結論になった。
そのほかの花京院らしいところといえば、服の色。
ナッシュは深緑色のカーゴパンツを履いている。
対する花京院のイメージカラーは緑色。上下緑色な制服を着ており、本人の好きな色が緑でスタンド名にも緑の文字が入る。
しかしナッシュのベストは黄色かオレンジ色の、なにも花京院らしさのない色になっている。
花京院のサブカラー(髪とピアス)のピンク色や赤色でもない……が、『ZERO』制作時の花京院に明確に赤いイメージカラーがあったかはわしには特定できない。
『ジョジョ』のカラーリングが連載中はっきり決まってなかった痕跡は次の記事にあり↓
もっと読むAIが混同したナッシュとジョジョのDIO―Google編
選ばれなかった緑ベスト
ナッシュのベストは花京院のコーディネートになぞらえた緑色にならなかった。
よく考えればナッシュの友人のガイルも上下の衣服が緑色。
のちのち二人が一緒にいる場面も用意することを考えると、見栄えの点で両者のカラーリングを被らないようにしたのかもしれない。
理由は不明だがわしは変わった方向の仮定をしたい。
それはナッシュに緑のベストは着させられなかったという仮定である。
そんなことある? と思う人は次回の記事を待ってください。できました↓