カプコンのオールスターゲームなTEPPENのガンスパイクネタ

B! P L

『TEPPEN』というスマホ向けカードゲームには歴代カプコン作品の登場人物が多数登場する。
いわゆるお祭りゲーム。……でありながら丸ごと登場しない作品もある。
追加されるタイトルの選出に偏りがあるが、『ストリートファイター』は常連作。
本編だともう参戦できそうにないナッシュもここでなら生きていける、そんな新作に呼ばれないキャラの救済の場になっている。
……のだがその居場所も脅かされた時がある。
ここからはストシリーズと関係のないところでナッシュの不運さを発揮した事跡をつづる。

オペレーション キャノンスパイク

2022年11月に『ガンスパイク』モチーフの新カードセット実装“Operation Cannon Spike”があった。
『キャノンスパイク』は海外での『ガンスパイク』のタイトル。日本では商標登録の都合でソフト名に使えず、『ガンスパイク』に変えたそう。
そのカードセットでは同作品に登場したキャラクターとその他のカプコンキャラが多数描かれた。
↓の公式サイトで追加されたカードが公開済み。
TEPPEN Operation Cannon Spike

逐一カード名を確認したりスライドさせたりの操作が面倒な人はTEPPEN英語ファンサイトwikiをどうぞ。
こちらにも追加されたカード一覧が掲載される。画像ちっちゃい? その場合は公式サイトを見よう。

人知れず消された存在

読者も想像がついたと思うけれどナッシュはいません
『ガンスパイク』ではARSFチームリーダーのキャミィの補佐役という(見かけは)重要なポジションを押さえた参謀が、どこにもいない。
ドリームキャストのパッケージ裏でキャミィの隣に居た男が、キャミィの隣どころかカケラも姿を見せられていない。
キャラ名でないアクションカードも確認したけれどやっぱりナッシュはいない。

ストシリーズのキャラが多くてカットされたのか?
アビゲイルやジュリをこのイベントで追加せざるをえない理由とは?
ナッシュの定番色の赤枠が多い? 初登場のシバか、従来アーサーが緑だけど赤へ変わったキング・アーサーを他に回したらなんとかなるんでないのけ?
これだけだとナッシュ不在のまっとうな理由は思いつかない。

証拠:ガンスパイクのパケ裏の画像

パケ裏でキャミィとセットな扱いだった証拠として、日本版のDC『ガンスパイク』パケ裏のドデカいサイズ画像を拾えたので貼り付ける。
サムネイル画像でもキャミィの隣にナッシュがいたことはわかるサイズに表示。
細部を見たい人だけクリックorタップでクソデカ画像を見てください。わしの手持ちだとナッシュの顔がはっきり見える全身絵(足は入ってないけど)画像はコレだけ。

DCガンスパイクのパッケージ裏面
ここに載せてないパケ表ではデフォルトキャラクター5名が勢ぞろいな絵が描かれる。 5人の中でもさらにこの二人が推されていた模様。 しかし宣伝の向き不向きでいえば、知名度的にはナッシュより『魔界村』の主人公アーサーのほうが適任。 アーサーはパケ裏だと小さいゲーム画面画像での登場におさまった。あとゲームの紹介文で名前は出された。

ガンスパアーサーは等身が高くて従来のアーサーと別人な外見。だから強く推し出すことは控えたのかなとわしは考えている。
なにも知らない状態で『魔界村』のキャラだとは気づけない。
ナッシュも原作にない肌着を着ていて印象が変わるけれど、他はほぼ同じなので問題なかったんでしょう。
変態的な服の着方がナッシュの譲れない個性ではなかった

ロックマン不在理由

ロックマンも『ガンスパイク』に参戦していた。
しかしながら”Operation Cannon Spike”のカードセットから選が漏れた。
ロックマンのハブられを正当だと主張するつもりはないけれど、こっちは出られない理由がいろいろ思いつく。

TEPPENでの立ち位置

『TEPPEN』ではロックマンXシリーズが優遇されている。
『ロックマンX』は『ロックマン』の後にできたシリーズかつ世界観(約100年後)。ゲーム内容やファン層は被る部分が多い。
それは裏返せば「ロックマンもロックマンXも一緒だろ」と思われるケースも多いということ。わしも昔は違いがわかってなかった。

オールスターもので作品の偏りが大きくなってしまうとプレイヤーの不満の原因になる。
『TEPPEN』でロックマンXシリーズを厚遇するのと引き換えに、初代ロックマンシリーズはお休みを受けている。
このゲームには初代ロックマンとその関係者は出さないルールがあるのかもしれない。ロールちゃんとかもいない。
『TEPPEN』で初代ロックマンは不参加を決め込む仕様を、『ガンスパイク』版のロックマンだからを理由に突破するには至らなかったようである。

その代わりにロックマンが『スマブラ』で暴れていたりする。これも住み分けだと思う。

ガンスパイクでの立ち位置

『ガンスパイク』のロックマンは隠しキャラで登場した。
その際、『ガンスパイク』向けの変更らしい変更はなかった。

プレイアブルキャラクターはみなモーターブーツと呼ばれる特殊な装置を使う設定があり、原作になかった足の装備か乗り物を使う。
ロックマンは一人だけいつもの姿のまま。
見た目が一緒でも足パーツがそれ専用の性能に換装されている、といった脳内補完ができはする。
しかしどう好意的に考えてもオリジナリティに欠ける仕様があった。
エンディングの内容が全部固定なのである。
誰と組もうとロックマンの単独ENDと同じ展開になる。相方とのやり取りは無し。
予算の都合もあろうが、あの世界と馴染もうとする姿勢がわしには感じられなかった。

リファインされたバレッタ

『ガンスパイク』にはロックマンと同じく隠しキャラとして参戦したカプコンゲームのキャラがいる。
それが『ヴァンパイア』シリーズのバレッタ
原作の時点で銃器を扱える武闘派な赤ずきんちゃんは原作にないキックボードに乗る
ペアエンディングではロックマン以外のキャラの意外な一面(というか顔)を見せてくれた。
西村キヌ絵で明確に美形キャラな風格が生まれたナッシュにも手加減なし。初めてEND絵を見たときのわしはキャラ属性の崩壊が心配になった。
バレッタのほうは『ガンスパイク』独自の持ち味が表れていたのである。

ナッシュ&バレッタのEND絵

どんなのか気になる&ネタバレを気にしない人は以下の折り畳み部分を開いてください。
重度のナッシュ好きはナッシュのカッコよさに傷が付きそうなので閲覧を控えるのもアリです。
ゆうても『ストⅡ』のバルログの負け顔よりはマシです。そこまでイメージが崩れない。
バルログの負け顔グラが気になる人は自分で検索してください。グッズもあったそう。

5人のキャラが同じ目に遭う蹴られシーン
ナッシュが描かれる絵は3枚。 クリックorタップでもう少し大きい画像が閲覧可。
2枚目が問題の絵です。見ればわかる見事な顔面蹴られ絵。
絵1
ガンスパイクのナッシュ&バレッタENDの1
絵2
ガンスパイクのナッシュ&バレッタENDの2
絵3
ガンスパイクのナッシュ&バレッタENDの3

END内容はロックマン以外のキャラも共通。みんなバレッタに蹴られる、平等なフレンドリーファイヤー。
バレッタの相棒は痛い目に遭うとはいえ、敵の基地からの脱出はできていそうな展開。差し引きゼロな感じ。
特に本作のナッシュは一人でENDを迎えると生死不明になる。
他作品の悲惨ENDとも比べたらバレッタとのENDはだいぶ幸せなほう。美形のテイを保ててないかもしらんけど。

END状況解説
(絵1)ラスボス撃破後、敵本拠地が崩壊し始める。
 ↓
(絵2)バレッタは敵地のお宝さがしをするために、その邪魔になりうる相棒を蹴りつける。
 ↓
(絵3)バレッタは救命ポッドに相棒の尻を蹴りながら押し込め、先に相棒を脱出させる(※動機はきっと金のため。相棒を助けるためではない)。
 ↓
邪魔者のいなくなったあとのバレッタは銃器をぶん回してお宝さがし。しかし基地の爆発に巻き込まれて生死不明に。

二人の明暗

バレッタはキャミィやナッシュと同じ通常のプレイアブルキャラクターでも通用しそうだった。
それに対し、ロックマンはゲストの枠を超えられなかった、というのがわしの主観。
この感想には『ガンスパイク』ロックマンの性能が抜きんでて優秀なのも関係する。
一人だけ別格に強いところもゲームに馴染んでいない感じがする。それが悪いと言いたいわけでないのでそこは注意。

バレッタは当該カードセットの追加枠に含まれた。
もともと『ヴァンパイア』シリーズが『TEPPEN』のカード追加の常連作品なことも含め、ロックマンとの差がついたことは不思議でないとわしは思う。

『ストリートファイター6』の『ガンスパイク』ネタのスタンプにもバレッタは選出済。使い勝手がいいのかもしれない。

もっと読むスト6のガンスパイクなDLCと原作のキャラを一部解説

ロックマン系ボスの多さ

公式の”Operation Cannon Spike”ストーリーでは『ロックマンX』シリーズをオマージュした8人の番人が立ちはだかるとの紹介があった。
敵キャラが8人も確定で増える
作品間のバランス取りのため、なおのことロックマンを控えさせたい状況だったんでなかろうか。

そんなに敵キャラを増やす必要があるか、といえばたぶんあった。
『ロックマンX』は(初代のもそうだが)8ステージにいる8体のボスを倒すことが最初の目的になる。
その伝統をふまえると敵が8体登場するのは譲れない設定なのかと思う。

ロックマンシリーズとガンスパイクの親和性

『ガンスパイク』もロボットな敵を相手にすることが多かった。
バルログなどのセリフのあるキャラより、ロボットのボスのほうが数は多いほど。
『ガンスパイク』はロックマン作品と相性のいい世界観だと思う。
ロックマン単体にはわしがアレコレ批評したものの、それはそれ。

わしの家にもあった『ロックマンX2』のボスキャラが上記の追加枠にいて、懐かしいなぁと感じた。それはいい。
果たしてナッシュまで休ませる必要があったのか。
ナッシュが抜けたらだれが海外勢の手に取りやすい(=操作キャラにとっつきやすい)男性兵士枠を埋めるんだ、と思ったらなんかちょうどいい感じの人が足されていた

キャミィの横の新顔

追加された面々の中で存在感と異彩を放つ男性がいる。
TEPPEN Operation Cannon Spikeページのトップを飾るイラストの右側にいる緑色のタンクトップを着た茶髪の人物。
彼は2009年発売の3Dアクションゲーム『バイオニックコマンドー』の主人公の通称ラッド、本名はネイサン・スペンサー

スペンサーが最初に登場したのは1988年発売のファミコンの『ヒットラーの復活 トップシークレット』。
ファミコンソフトはアーケード版『トップシークレット』の移植作、というが内容は大幅に変わった。
ファミコン(とそれ以降の)と現在のスペンサーは外見が違うが、同一人物の扱いでいる。
どのスペンサーにしても『ガンスパイク』にはいなかった。
元ネタにいなかった人物がナッシュじみた立ち位置で描かれた

スペンサーとガンスパイクの親和性

スペンサーは左手にバイオニックアームという特殊な機械を装備したサイバーパンクな戦士。
近未来な世界観の『ガンスパイク』にはうってつけの人物だ。
『TEPPEN』で『ガンスパイク』勢と一緒にいるところを見るともとからスペンサーがプレイアブルにいたような幻覚を覚える

念のために情報を整理すると、『ガンスパイク』は2000年リリースのゲーム。このスペンサーは2009年に世に出たため同作に登場しようがない。
しかしあまりのハマり具合に、ナッシュが『ガンスパイク』にいたことは春の夜の夢のごとき泡沫うたかたの記憶だったのかもしれないとさえ思えてくる。
悔しい話だが「おまえがナンバー1ワンだ‼」と悟空を称賛するベジータにも似た気分になる。

そういった『ガンスパイク』向けなキャラクター要素とは別個に、スペンサーが登場するシリーズ自体が『ガンスパイク』と縁があった。

ガンスパイク制作時

『ガンスパイク』の開発初期段階では『バイオニックコマンドー』の関連&過去作にあたる『戦場の狼』も話題にのぼっていたそう。
情報元はカプコンと彩京の制作者代表の対談をもとにした記事が載る『ドリームキャストマガジン』2000年12月29日号。
その部分を抜粋。発言者は彩京の中村晋介氏とカプコンの三並達也氏。

中村 カプコンさんですから「戦場の狼」とかもイメージが少しありました。
三並 その話出てましたね。

『戦場の狼』は1985年5月にアーケード稼働したカプコンの縦スクロールアクションシューティングゲーム。
彩京のゲームも縦スクロールのシューティングが目立った。同社にカプコンのシューティングゲームが好きなスタッフも在席していたんでないかと思う。
もしかしたら『戦場の狼』の登場人物が『ガンスパイク』のプレイアブルキャラクターになる可能性もあったのだろうか。
キャミィの隣に『戦場の狼』関連の人物がいる構図も、当時の制作者がやりたかったことかもしれない。

スペンサーの高待遇はいいが・・・

せっかくのオールスターもので原作と同じ顔ばかりいてもつまらない。それはわかる。
それまで『TEPPEN』に参戦できなかったスペンサーの晴れ舞台をハデに飾りたい。それもわからんでもない。

それらの動機が隅っこにもナッシュを出さない理由になるのだろうか。そのへんはわからない。
ロックマンを外すならナッシュも、という仲間外れを出させない仲間外れなのだろうか?
あるいは「原作と同じ顔ばかりいても」の精神で、他のカプコンゲームのテーマごとの追加もメインキャラのハブられが恒例行事になっていたのか?
わしがざっくり見た感じでは初のハブられがこのナッシュとロックマンだけのようなのだが、『TEPPEN』もカプコンゲームも網羅できてないので確かなことは言えない。

求められるナッシュのファッション?

『ガンスパイク』企画でナッシュが不選出となった理由は不明である。
確かなことはファッションセンスがまともなナッシュが登場する機会を失ったことだけ。
『ストⅤ』では標準衣装で服を着るユリアンや脱半裸キャラを遂げたバルログが登場しながらも、ナッシュは裸ベストを続行していた。
『ヴァンパイア』のビクトルオマージュもあるのだろうけれど、彼には肌着着用が邪道なのかもしれない。
『TEPPEN』は裸ベストなナッシュなら意外とたくさん追加されていた。
作り手にとっては変態的な上半身のナッシュに価値があるのだろうか。あんたも好きねぇ、なことだったりする?
この調子だと本家シリーズのほうでもデフォコスで腹筋を隠すことはなさそうである。そもそも登場できないかHAHAHA! ……ハァ……。

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