スト6のガンスパイクなDLCと原作のキャラを一部解説 2025/1/26Posted 2025/7/14 Last update B! P L 2025年1月6日に、【ストリートファイター6:ファイティングパス「ミリタリーシューター」】が配信された。 ↓がゲームウォッチのニュース記事。 「スト6」ファイティングパス「ミリタリーシューター」1月6日17時より配信! アーミーなアバター装備がラインナップ この記事はその紹介とちょっとした解説をする。 スタンプに選出されたメンツの中で、見る人がもっとも「*だれ?*」と思いそうなのは『ガンスパイク』バルログ。 ガンスパイク限定バルログを解説する記事はこちら↓ 次の記事ガンスパイクのバルログ―格ゲーのバルログとの関係 当記事はもともと上記リンク先の文章も載せていたが2025年7月7日に分割した。 分割後はテキスト量がスカスカ(千字ちょっと)になったので3千字ほど加筆。4分の3が新規文章。 ## 配信されたアイテム 冒頭のリンク先には今回のファイティングパスで得られるアイテムなどが紹介される。 ミリタリーでシューターでカプコンと言ったら『ガンスパイク』……とはかぎらないだろうけれど、『ガンスパイク』のネタが一部盛りこんである様子。 ### ガンスパイクスタンプ ニュース記事で紹介された追加セット内容が一枚の画像に収められており、その画像下段に、スタンプという項目がある。 注目してほしい部分を切り抜いた↓ 左から順に、デルタレッド服のキャミィ,黒インナーを着たナッシュ,『ガンスパイク』のバルログ,『ヴァンパイア』出身のバレッタ,シャドルーのベガ親衛隊服のキャミィの5種類。 すべて『ガンスパイク』に登場した面々である。キャミィは唯一別衣装バージョンがあって、水色レオタードでもプレイできた。 このうちバルログだけは敵役。 #### ポーズのセルフオマージュ スタンプはデフォルメされた新規描き下ろし絵。 その中でもデルタレッドなキャミィと腹筋を隠したナッシュのポージングは『ガンスパイク』の公式絵に寄せているようにわしは感じた。 キャラクターを選択する画面に使われた立ち絵とはべつの、躍動感あふれる全身絵のほうに似ている。 比較のため『ガンスパイク』の絵を貼り付ける。この二人のイラストは西村キヌ氏の担当。 (C)2000 PSIKYO (C)CAPCOM CO., LTD. 2000 ALL RIGHTS RESERVED. これもファンサービスの一種なのだろうか。 今やどれだけ『ガンスパイク』のファンが残っているのかわからない。もともとの数も少なそう。 前作『ストリートファイターⅤ』ではガンスパイク衣装がこの二人に無料配信されたこと、 ルシアの戦闘服1の隊員コメントに『ガンスパイク』の話題があがったところを見ると、制作者に根強いファンがいるのかもしれない。 ### アバター衣装のカラーリング プレイヤーが自由に作るアバターキャラクター用に、ベースが*緑色*で差し色がオレンジ色のジャケットや靴が配信される。 ミリタリーでは緑色はよく使われる色。しかしオレンジ色はあんまり頻繁に見かけない。 なんでオレンジ色? と疑問に感じるまえにわしは「お、*ナッシュカラーか?*」と思った。わしの思考がナッシュ優先なせい。 当ブログの色合いもナッシュの画像から色を抽出し、緑とオレンジ多めな作りになっている。 けっしてわしが『スプラトゥーン』のサーモンランに傾倒する末のサーモンランカラーというわけではない。サーモンランも緑とオレンジがイメージカラーになってんスよね。 #### ナッシュの明確なオレンジ服は描写少なし わしが勝手にナッシュとアバター衣装のミリタリー服を繋げて考えているだけで、根拠はとぼしい。 こんなにはっきりしたオレンジ色は『ストⅤ』のZEROナッシュ衣装か、『ZERO1』でBENGUS氏が描いたガイル(後ろ姿)と一緒の絵のベストに使われた程度。 多くのナッシュ絵およびグラフィックではここまで赤みが強くない。 この色使いにナッシュは関係ないのかもしれない。真っ黄色なズボンはナッシュと縁がないし。 これほどハデな黄色いズボンを履く人は『ジョジョの奇妙な冒険』のDIOか、お笑い芸人のダンディ坂野氏ぐらいしかわしは思いつかない。アバター衣装の元ネタはあるんだろうか。 ## 非選出のガンスパイク登場人物 DLCスタンプに選ばれた『ガンスパイク』登場人物は4名だった。 同作には他にもプレイアブルキャラとボス格の敵がいる。 プレイアブルは『魔界村』の主人公アーサーと, 名目上は『ルースターズ』の2P主人公のシバ(実質『ガンスパイク』オリキャラ), 表向きはオリキャラ扱いのシモーヌ(実質『エイリアンVSプレデター』のリン・クロサワ), 初代『ロックマン』のロックマン。 敵キャラは『ガンスパイク』オリジナルの3人。カブキとキャットレディー・ビューティーとスティング。 スタンプの絵に選ばれなかった原作付きのキャラは、いずれも元ネタが2D横スクロールアクションなゲームだった。 選ばれた側の顔ぶれを見るに、格闘ゲームと縁のあるキャラを優先したようである。 ### TEPPENのカードで選出された敵幹部 2022年11月に『ガンスパイク』モチーフの新カードセット実装“Operation Cannon Spike”があった。 そこではオリ敵キャラなカブキとビューティーがカード化された。 バルログは不在。まだ本家のバルログとはどういう関係にしていいかよくわからないので無難なやり方。 同一にするんだったら英語版では「Vega」表記にする必要あり。 絵だけのスタンプだとそのへんをあやふやなままに(スタンプ名+数字で表記)できる……という利点もあってチョイスされたのかと『スト6』持ってないわしは思った。 敵組織の親玉なスティングも不在。こっちはあまり見た目に特徴がない男性。 巨漢のカブキと猫耳チックな髪型のビューティーのほうが個性があってカード向けだろう、とわしは無慈悲にも思う。 ## シバとシモーヌの詳細 原作ありだけど実質オリキャラなシバと、原作なし扱いだけど実質原作ありなシモーヌについて、事情を知らない人向けに解説する。 この二人はストシリーズにも存在するふうに『ストⅤ』で触れられた。詳細は後述。 ### シバとルースターズのシバ 『ガンスパイク』のシバはフルネームがシバ・シンタロウという日本人。シバは名字らしい。アルファベットでは「Shiba」。 スケートボードの選手をしており、テロリストの騒ぎに巻き込まれて自身が標的にされたのをきっかけに対テロ組織のチームに入った。 ゲーム内ではホバーボードを駆使してスピーディーに戦う。 原作では ファンタジーな世界観でシバは人型の妖精めいた存在。日本っぽさはどこにもない。 名前のアルファベットは「Siva」。ヒンドゥー教のシヴァ神な表記。 『ルースターズ』の続編に『チャリオット』があり、そこではチャリオットという空を飛びショットを撃てる乗り物に乗る。 乗り物の見た目はハンググライダーっぽかったりバイクっぽかったりするが、スケボーではない。 ### シモーヌとリン・クロサワ シモーヌは『ガンスパイク』のアーサーと共に行動する傭兵のフランス人。 ピンク髪で色黒という変わったカラーリング。 シバのような乗り物は使わず、キャミィとナッシュ同様にモーターブーツを履いて戦う。 リン・クロサワとの類似点 1. 体をサイボーグ化した女性 2. 日本刀と銃の両方を使う 3. 首から下のデザイン それとリン・クロサワの持つ刀の名前が「サムライソード」、シモーヌが使うスペシャルアタックの名前も「サムライソード」で共通する。 #### 素直にリン・クロサワとして出せない理由 リン・クロサワの登場するアーケードゲーム『エイリアンVSプレデター』はカプコンが制作した。 2004年に同名の映画が放映されたが、このゲームが出たころ(1994年5月)はまだ無く、SF映画の『エイリアン』と『プレデター』が単独でシリーズ化していた。 他社の版権を使ったゲームゆえに、ゲーム自体の権利は**20世紀フォックス**(現**20世紀スタジオ**)という映画会社が所有する……と思われる。 リン・クロサワはカプコンのゲーム以外に存在しないオリジナルのキャラクターだった。 だったらカプコンのキャラなんじゃ? と思いそうなところ、現実はキャラの権利をカプコンが持てず、使用の許可も得られずにいた。 キャラ自体はプレイヤーからも制作者からも人気があった。 どうにかゲームで使いたい、という考えのもと、似てるけど違うキャラを生み出すことになった模様。 ##### 権利問題は以前より改善? 『エイリアンVSプレデター』は家庭用ゲーム移植の案があったそうだが、実現叶わずアーケードでのみプレイできるゲームだった。 長年、遊びたければ筐体をゲットするしかないというプレイしにくいゲームと化していた。 それが2019年、ヨーロッパに向けたものではあるが、カプコンのレトロアーケードゲーム16作を搭載したゲーム機「Capcom Home Arcade」に収録された。 くわしい説明は以下の4gamerのサイトを見よう。 レトロンバーガー Order 27:「エリプレ」や「プロギアの嵐」(の英語版)を遊べる「Capcom Home Arcade」がドイツから届いたよ編 まだSteamなどのゲームプラットフォームには配信できていないとはいえ、ちょっとずつ状況は良くなってきているのかもしれない。 ### 制作者の見解 『ガンスパイク』のメインイラスト担当だった西村キヌによる以下のつぶやきがあった。 シバだけ完全オリジナルキャラになっちゃうので名前はルースターズから貰ったみたいな感じだった気がしますシバ・シンタロウという名前は企画マンの貞本さんがつけたんじゃなかったかな日本人だったのか!めっちゃ良いと思いました— nishi_katsu (@nishi_katsu) May 3, 2024 「リン・クロサワが版権の都合でシモーヌというオリジナルキャラになった」とされる。 シバについては一人だけ出典なしのオリキャラになってしまうのを避けたくて『ルースターズ』からシバの名前を拝借したのだそう。 ポストには載らないが、シバの名前のほかにもアカビーと『チャリオット』で身に着けていたゴーグルの意匠も『ルースターズ』要素ではありそう。 #### シバの前身 意外な情報はシバが「ミニ春麗みたいな少女キャラだったのが少年キャラに変わった」という部分。 たしかに『ドリームキャストマガジン』12月29日増刊号に没キャラの案で小さい中華娘が載せてあった。 中華娘がシバより先にできていたらしい。 それだと性別比率が女>男になってギャルゲーっぽくならない? とわしは思ってしまうが、当初はまだシモーヌとバレッタを出すとは決まってなかったのだろう、たぶん。 キャミィは最初から参戦確定だったことが同誌に掲載された。 ### シャド研の紹介 『ストⅤ』の公式サイトにある、キャラ図鑑にはシバとシモーヌの紹介ページがある。 キャラ図鑑127:シバ | キャラ図鑑 | 活動報告書 | CAPCOM:シャドルー格闘家研究所 キャラ図鑑128:シモーヌ | キャラ図鑑 | 活動報告書 | CAPCOM:シャドルー格闘家研究所 『ガンスパイク』とは異なる世界観でいながらこの二人もストシリーズの人物扱いとなった。 二人ともデルタレッド所属になる。 『ガンスパイク』の味方組織ARSFはチームリーダーがキャミィなのでデルタレッド主導の組織で違和感ないとわしは思う。 ところでシモーヌの紹介文中に、『ガンスパイク』時代は触れられなかったリン・クロサワ固有の特徴や名詞がバンバン使われている。元ネタを隠す気はないらしい。 ## スタンプ発端の記事 この記事はファイティングパス「ミリタリーシューター」の配信内容に影響を受けたもの。 わしはこの追加要素を知ったとき、*『ガンスパイク』ネタでナッシュがちゃんと出させてもらえることに驚いた*。 よく考えればナッシュはストシリーズのキャラ。ストシリーズの追加コンテンツ内の優先度が高くて当然ではある。 しかしわしには過去のトラウマ、というと大げさだが胸に引っかかる事象があった。 次回はその出来事を綴る↓ 次の記事カプコンのオールスターゲームなTEPPENのガンスパイクネタ ガンスパイク関連話 AIが混同したナッシュとジョジョのDIO―Google編 深掘りするキャミィのハロウィン衣装の原典とストⅤナッシュ話 ストⅤのガンスパイク衣装時の特殊セリフ+ZERO3 Street Fighter #ガンスパイク #ナッシュ