サガットの体重―現実の長身格闘家や低体重者ほか
サガットの体重―スト1から海外版の設定に至るまで紹介&考察では、日本版のサガットの異常な軽さについて説明した。
今回は高身長な格闘家の体重の実例や、BMI値がⅡサガットと同じ15台にとどまった男性の例、および体重のほかにも日本の創作界隈ではやたらと低い数字になる要素についてまとめた。
なお当記事は2024年10月に投稿した記事を分割&加筆したものの後編に該当する。
すべての始まりのストⅡプロフィール
サガットの初登場作は初代『ストリートファイター』だが、低体重のイメージがついたのはその続編から。
以下の画像は『ストリートファイターⅡ』のSFC説明書のサガットのプロフィール部分↓
身長226センチと体重78キロと紹介される。BMI値は驚異の15.27。
同ページには182センチ80キロのベガが、見開き隣のページには198センチ102キロのバイソンと186センチ72キロのバルログが並ぶ。
ベガたちと比較して「なんか変だな」と思うスタッフはいなかったのだろうか。いても発言権がなかったのか。
ともあれ高身長かつマッチョな体型に見合わないヒョロガリ体重なサガットは『ストⅡ』で誕生した。
現実にいる2m↑格闘家の身体
226センチという巨体はリアルでそうそう出くわさない。
凡人にはなじみがなくて巨体に見合った体重は想像がつかない。
そこで実在の2メートル超え格闘家の身長と体重をピックアップする。
日本の著名人のジャイアント馬場氏は209センチで体重は130キロ~145キロ、
オランダのセミー・シュルト氏は212センチで体重132キロ、
ロシアのニコライ・ワルーエフ氏は213センチで体重143キロ~150キロ、
インド出身のザ・グレート・カリ(本名はダリップ・シン・ラナ)氏は216センチで体重157キロ、
韓国のチェ・ホンマン氏は218センチで体重は160キロだったそう。
五人とも数字を見ると力士のように重たいが、体型は特段太っていない。馬場氏はむしろ手足が鶏ガラのように細いときもあった。
こういった実例から考えるとやっぱり体重2桁キロ台は軽すぎるようだ。
現実の超低体重者
『ストⅡ』サガットはあまりに浮世離れした設定体重と言わざるを得ない。
ムキムキな筋肉はスポンジか発泡スチロール製のハリボテとしか思えない軽さだ。
この現実世界にサガット級の痩せ体重で健康な男性が実在するのか? ……と思っていたら一人、写真付きで見つかった。
Snow Manというアイドルグループのラウール氏が身長192cm、体重は57kgと紹介する記事が講談社のニュースサイトにあった。掲載日は2024年2月29日。
情報を信じて計算するとBMI15.46。
ガリガリに細いアイドル男性だからなしえる軽さなのだろう。
JRAの記録
また、正確な体重の情報はない低体重者もいた。
競馬騎手で有名な武豊氏の、弟の武幸四郎氏である。その身長は177センチだそう。
彼も騎手をしていた時期があり、2013年6月9日にマイファーストラヴという馬に騎乗した。
このときの馬の負担重量は49キロだとJRAの重賞レース一覧に記録が残っている→第18回 マーメイドステークス
競馬に慣れない人はこれを見て「騎手の体重が49キロ?」と思うかもしれない。わしも最初はそうだった。しかし違う。
馬の体に負担させる重量が49キロである。
騎手がまたがる鞍や,足をかける鐙,騎手の着る勝負服も含んだ重さなのだそう。
手綱など一部重さに含めないものもあるが、この負担重量よりさらに騎手の体重は軽い。
果たして武氏の実体重がいくつだったのかは不明。
騎手の体重以外に加算される物品の重さは約2キロなことが多いらしく、おそらく47キロほどと推定可能。
47キロだとしたらBMI15。49キロのままで計算しても15.64。どちらにしても極度の低体重である。
不健康な体重
武幸四郎氏は過度な減量がたたり、テレビ番組で骨密度測定をしたら70代の老人並みだと診断された噂がある。
体重を減らしすぎると骨まで軽くなり、もろくなるようだ。
もとより160センチ前後の人が多いジョッキーの世界。
177センチの高身長者には苛烈を極めたようで、武氏は騎手を辞めて2018年からは調教師として厩舎を開業したそう。
ジョッキーは減量も仕事のうちだから健康を犠牲にするのは仕方ないのかもしれない。
けれど、体重に低い上限がある仕事に就いていない一般の人はBMI16を下回るのは避けるという意識を心掛けたい。
身長の低い人(150センチ以下とか)なら従来のBMI値で16未満と出ても緊迫した状況でないだろうけれど、高身長な人は要注意。
極度の痩せ型への対策
食べても太れない,食べたくても食べられないという人も世の中にいる。
そういった場合は高カロリーの栄養補助食品を検索してみよう。通販サイトにもいろいろ売っている。
飲料タイプやゼリータイプなど、噛むことや飲みこむことに難のある人向けの食品もある。
甘い系が多いが探せばコーンスープ味などのしょっぱい系もある。甘い物が苦手な人でもなんとかなる。
しかし健康優良児なはずの格闘家キャラのテーマでなぜカロリー摂取の話に着陸するのか不思議である。
身長を考慮されにくい数字
身長が高くなったら体の厚みが増し、体重は増える。それが自然ななりゆき。
しかし創作界隈において、一定の身長を超えるとその自然の摂理が無視されるケースがある。サガットの体重もその類例と言える。
日本人の平均身長
一定の身長とは例えば平均身長。
ここ40年間ほどの、日本の成人男性の平均身長は170センチと少し。
『ストⅡ』制作期間の1990年は20歳男性の平均身長が171.3センチ。
その身長で考えたら78キロはゴロゴロいそうな体重。なんなら普通より重いと感じるくらい。
226センチという規格外な身長に釣り合う体重がわからない状況下で、日本人男性の一般的な身体をベースにキャラを考案したせいで、78キロという数字が生まれたのかもしれない。
創作における女性キャラの40キロ台信仰
身長の高さを加味されないファンタジーな値は女性キャラによくある。
女性の場合、150センチ台ベースで数字を考えがちな風潮が根強い。
具体的には、どんなに高身長な女性でも40キロ台でないとプレイヤーに受け入れられにくい空気感がただよう時代があった。
『FF6』セリスの172センチ58キロを重いと言う人や『聖剣伝説3』リースの167センチ54キロも絵的(かなり細身ではある)にそんなに重く見えないという人などをわしは見てきた。
二人ともBMI値は19台で留まっており、BMI20未満の美容体重。
彼女たちは武器を振り回せる戦士タイプ。それを考えるとむしろ筋肉の重さはどこいった? と言えそうなほど軽い。しかしそう思わない人が目立った。
BMI18未満なキャラ
女性が50キロ以上あるのはちょっと、といった価値観が優勢だった。
その価値観のもと、『クロノクロス』の幼馴染ヒロインなレナ166センチ42キロが体格:普通とゲーム内で扱われたり、『エースコンバット5』の戦闘機パイロットであるエッジ(ケイ・ナガセ)167センチ47キロがいたりしたのだろうとわしは思っている。
村人なレナはともかく軍人のエッジはこんなにガリガリでだいじょうぶ? そんなスカスカな筋肉量でG(重力加速度)に耐えられる? とわしはちょっと心配になる。
話にぜんぜん関係ないけどエッジはTACネームよりナガセ呼びのほうが一般的なのだろうか? ゲーム内の「エッジ交戦」と言うセリフが耳に残っていて、わしの中ではエッジという名前で定着している。
体重のほかにはスリーサイズ、特にウエストが50センチ台に留まるケースが妙にある。
ローズと現実のモデルの公表スリーサイズ
一例に出すのはストシリーズのローズ。
『ストリートファイターZERO』で初登場した、セクシーダイナマイトな女性。
ローズのスリーサイズは96・57・86となっていた。Ⅳも同じ数字が使われたが、Ⅴでは設定なし。
身長は178センチ,体重は54キロ。全体的に体重が増量された『ストⅤ』でも『ZERO』から変更なし。
ここで世界的に有名な女性モデルの冨永愛氏と比べる。
ニュースメディアのモデルプレスによると冨永愛氏は、
スリーサイズが81・61・88だそう。
身長は179センチ,体重は56キロ。
…………
冨永氏は極限まで無駄な肉をなくした&持って生まれた細長い骨格の人物。
そんな超細身な方がローズより腰と尻のサイズで上回っている。
外見と釣り合わない数字の低さ
見た目は3Dポリゴンのローズが圧倒的に分厚い。たくましい。
現実に即して考えたらローズのスリーサイズが過小申告である。
ローズの体重については、それだけを見たら現実にありえなくはなさげ。
しかしその数字に合わせた体型に寄せると胸などもろもろをそぎ落とす必要がある。
これが150センチ台の人だったらこの体重とスリーサイズはまだリアルでもいけそうな気がする。
胸もあの骨太178センチ&巨乳で96は逆サバ読みだったんでないかと思う。
超えたくない100の壁?
サガットの体重は初代と『ZERO』では100キロの大台に載っていた。
しかし『ストⅤ』では三桁に行かず、98キロに留まった。
100キロを超えさせたくないと思う制作者がいるのかもしれない。
この数字より大きいのは抵抗がある、という事柄はいろいろある。
有名なスマホゲームで一部話題になったのは女性のバスト。
実在の名馬を女性擬人化した『ウマ娘』に登場する人物にバスト100センチを超える者はいない。
最高値はバスト99センチで、該当者がメイショウドトウとヒシアケボノ。
ドトウの身長は164センチ、アケボノは180センチある。
後者は美少女ものの作品には珍しそうな巨大さ。これにはちゃんと理由がある。
名前が力士由来の大型馬
元馬のヒシアケボノは馬名の由来が第64代横綱の曙太郎氏(203センチ233キロ)だという。
あやかった人物に似て、馬体が大きかった。
現役時代は最重量級の大型馬だと言われ、500キロを超したら大型馬とされる界隈で580キロいったこともあった。580は太り過ぎなせいかレース結果が惨敗だった。
これより上のヘビー級はなかなか出なさそうなキャラでもバスト100を超えられなかった。
しかしイラストやゲーム中のポリゴンは数値以上のサイズ感があると評判。
そのためバスト99センチ設定は逆サバ読みと言われているそう。
なんか100に壁があるんでしょうね。
固定観念の打破か受容継続か
情報化社会が発展し、リアリティのある数字かどうか判断できる材料が増えつつある。
それでも夢想の数字に囚われる層がいる(と制作者が思う)から実態より細めな申告が多くなるのかもしれない。
サガットもまた「サガットは軽い体重でなきゃいけない」と囚われる者がいるから100キロを超えられなかったのかもしれない。
女性キャラのバスト100↑が普及するのが先か、サガットが最新作で100キロ超えするのが先か。
作中に描かれる体型が変わらないかぎり些細な問題ではある。
数字はオマケ程度の認識
日本のゲームや漫画に親しむ者にはファンタジーな数字は慣れっこです。
サバ読み批判を避けるために控えめな数字のほうにキャラを寄せていきさえしなかったらなんでもいいです。
やせたかなしい姿のサガットを見たいと思わないです。
イメチェンしたかったら服を着せるくらいで充分です。
なんやかんやサガットも腹筋を出しっぱなし。熱帯の国の人だからナッシュほどの違和感はない。
服といったら『スト6』ベガと『ストⅤ』サガットが半裸に破れマントを羽織るスタイルが被っている。
キャラ分けのためサガットはファッションを変えてくるかもしれない。服装も注目のポイントになってきた。
6サガットの外見
2025年6月7日に、『ストリートファイター6』Year3で追加される4人の格闘家が発表された。
トップバッターのサガットはマッチョな外観そのままに、毛皮を羽織るスタイルに↓
「ストリートファイター6」Year 3の新規参戦キャラとして,サガット,アレックス,C.ヴァイパー,イングリッドを発表
この毛皮は虎柄っぽい。虎ちゃんの毛皮を剥いだのだろうか。
サガットステージの背景にはいつもの寝仏のほかに虎もいるのだが、これは『ストⅤ』で連れていたウイラメーウでいいのか? それとも毛g……(以下自主規制)