ZERO2プレイ時の印象から受けた間違ったナッシュ像

B! P L

今回は我が家に『ストリートファイターZERO2』がきたあとのナッシュ話。
ナッシュにまつわる情報が少ないあまり、当時のわしが明後日の方向の想像をしていたことをここに懺悔する。
謎の多さがきっかけで、わしの心の片隅にナッシュが居座るようになった、と思う。

前記事ZERO2に出会うまで―セガサターン入手と同時に得たゲームでは当記事に関連した話をしていた。SS版『ZERO2』でプレイする環境が整うまでの経緯。
そっちはゲーム関連の雑学込々の記事。読まなくてもこの記事を読むのに不都合がありません。

ナッシュの使用者

わしは『ZERO2』でゲームのナッシュを初めて知った。
そこから二十数年を経て、ナッシュへの想いが冷めやらず、このブログを立ち上げるにいたった。
何年も記憶に残るんだったらさぞかし操作し尽くした持ちキャラだった……となるのが普通だと思う。
実のところわしはナッシュを使ってない
せいぜいちょろっとお試しでしゃがませていた程度。
わしではなく兄がよくナッシュを操作していた
わしがナッシュをしゃがませたのも「兄者はよくこうやってたなぁ~」という、タメ必殺技の伝統的待ちポーズを真似したからだ。
当時のわしはタメ技の概念をよくわかっていなかった気がする。技を出せても波動拳だけだった。

兄の愛用キャラ

わしの脳裏に焼きついたソニックブームもサマーソルトシェルも、多くは兄者がコマンド入力で繰り出した動作である。
ナッシュはタメキャラだから必殺技2種はコマンドと呼べるほどの複雑な操作じゃないけれど、スーパーコンボも兄者は出せていた。

もし兄者がナッシュを使わないプレイヤーだったら、この記事はおろかブログも存在しなかったかもしれない。
その良し悪しはきっと読み手の属性による。
大部分の人には悪いようにならない、はず

閑話:対戦時はダンの使い手

兄はナッシュを持ちキャラにしたが、わしとの対戦時には使わなかった。
使うのは公認最弱キャラのダンだった。
わしとのプレイングスキルの差を考えてハンデキャラを使用したのである。

はっきりハンデをつけたと兄が言ったことはない。
けれど、波動拳の飛距離の短さを見たらダンが弱キャラだとは一目でわかった。

対するわしが使ったキャラのうち、よく覚えているのはサガット
ダンとサガットが対戦すると特殊な掛け合い(ダンが「オヤジぃ~!」と言う)が起きる。それで記憶に残った。

セガサターン版の情報

『ストⅣ』流行を機にネット調査をするまでの間、わしの思い出に残るナッシュは『ZERO2』で見た姿がすべてだった。
この『ZERO2』はセガサターン版。以下セガサターンはSSとも表記する。
SS版には公式絵師によるイラストが閲覧できるギャラリー機能があった。そのイラストによる視覚的な情報も含む。
……というより絵の比重が大きかった
文面情報はSS版説明書に書かれた紹介文のみだった。↓が引用文。

「偽りの正義に鉄槌を下せ!
単身巨悪に挑むクール・ソルジャー!」

これだけである。
いかにもヒーローらしい謳い文句だとは伝わる。
しかし、これ以外にナッシュ関連の知識がないわしにはなんのことだかわからなかった。

要ストⅡか雑誌の前提知識

前作にあたる『ストⅡ』のガイルの経歴を知る人なら、簡潔なナッシュ紹介文でも察しがつくのかもしれない。
巨悪=ベガでそれを倒そうとしているのだと。
『ストⅡ』ではベガを追ったせいで故人となったガイルの戦友だと。
しかし、わしも兄もガイルのバックボーンを知らなかった

家に『ストⅡ』はあったし、『スパⅡ』は兄者がキャミィを使っていたと言う。
兄は『ストⅡ』既プレイヤーではあってもガイルのアーケードモードはクリアしてなかったようである。
だからか後年、ナッシュとガイルの事情(ナッシュがガイルの友人であり『ストⅡ』のガイルは友の仇討ちのために闘っていたこと)をわしが知らせたときは素で驚いていた。本当になにも知らなかったのだろう。
なんか謎に同じ技を使うヘンテコな髪型の人達としか思ってなかったのだ。

『ストⅡ』未履修者であっても、『ZERO』関連のムック本を読めばナッシュの背景がわかる説明とショートストーリーはあった。
だが、我が家にそんなものはなかった。

エンディングには描写あり

『ZERO』系列にもゲーム内にアーケードモードがある。
それをクリアすればエンディングを迎え、ドット絵での紙芝居的なストーリーが流れる。
ナッシュもエンディングに到達すれば人物紹介にあった言葉の意味がだいたいわかる
ナッシュがガイルの友人かまではわからないが、この頃は雑誌でも意図的に伏せていたようである。

しかし未到達

エンディングを見れば最低限のキャラ情報は伝わる。けっして公式側のお出しする情報量が不足していたとも言えない。
だがあいにくわしはどのキャラのアーケードモードもクリアしなかった。
へたっぴなので最後までいけるはずもない、と最初から挑戦していなかった気がする。

わしの目の前でプレイする兄者も、アーケードモードをクリアしていたか怪しい。
とにかくわしがナッシュENDをじかに見ることはなかった。
当時のわしはアクションゲームが苦手だったこともあって、『ZERO2』のプレイはそこそこに留まり、次第に他ゲーに流れていった。

盛大な誤解

ナッシュ情報がイラスト偏重だったわしは当初、公式が想定するナッシュ像には程遠いイメージを抱えていた。
説明書での説明は簡潔、そしてアーケードモードのエンディングは知らない状態。
そんな限られた情報源の中で最大の勘違いが起きた。

「この兄ちゃん、悪役か?」

説明書の文言は正義の味方らしいのにそんな疑念がわいた。
その疑いのまなざしは二次元における眼鏡キャラの偏ったイメージのせいで生まれた。
眼鏡をかけているキャラは悪人だとか主人公を裏切る、といった傾向だ。

名作アニメ『天空の城ラピュタ』のムスカ大佐がそのイメージの助長に一役買ったと思う。
ムスカの装身具は正確には眼鏡でなくサングラスのようだが、レンズ越しに目がきちんと確認できる明度なので似たようなものとする。

眼鏡悪役が目立つ時代

当時のわしが一番衝撃的だった悪人眼鏡キャラがいる。1997年8月1日放送の『ルパン三世 ワルサーP38』に登場していた。
あの眼鏡キャラが眼鏡を取り、正体を明かしたあとの人相の悪さといったら、特殊メイクをはぎ取ったかのようだった。
この眼鏡キャラはルパンの変装メイクのようなものを外すシーンは無く、眼鏡をとっただけだったと思う。
眼鏡の有無であれだけ人相が変わるとはレンズに特殊な仕掛けがあるのだろうか。

ともあれ、わしが『ZERO2』をプレイした頃は眼鏡=悪という記号化が成り立つ風潮があった。
眼鏡をかけない悪人も大勢いるのだが、悪役ポイントが加算される記号になっていた。
大部分はこの眼鏡属性のせいでナッシュにあらぬ嫌疑をかけてしまったと今なら思う。

眼鏡を外すと・・・な展開

中でも眼鏡を外したら悪い本性を見せる、といったお約束もある。
ジャンプ漫画『ブリーチ』にもそういう人がいるらしい。わしは未読。

『ZERO』のナッシュというと対戦時は眼鏡を外す人である。勝利したら眼鏡をかけ直すポーズもある。
あれは伊達眼鏡という設定。しかしそんな説明は『ZERO2』ゲーム内には当然なかった。
説明書のイラストと対戦開始時のドット製顔グラでは眼鏡を手に取った姿に描かれ、眼鏡を外すぞアピールが強かった。『ZERO1』と『ZERO3』はそうでもない。

眼鏡を外す眼鏡悪役のケースは眼鏡が猫被りの暗示であり、正体が判明したあとは眼鏡をつけないことが多い。
ゆえにナッシュの眼鏡オンオフそのものは別段悪の要素を感じなかった。
わしが抱いたしょうもない関心は眼鏡の性能にあり、単にお飾りの眼鏡なのか、本当に目が悪いけど座頭市的な心眼能力で闘うのかはちょっと気になっていた。

眼光の鋭さが悪人面チック

次なる悪の記号化は目つきの鋭さだった。
前述のアニメ映画『ワルサーP38』の悪役は偽装時が優しい目つきで、正体判明後は細く吊り上がった目になっていた。

ナッシュも細いツリ目である。
『ZERO2』説明書のえだやん氏の絵も,ゲーム内のドット製顔グラも,ギャラリーにあるBENGUS氏の絵も、目尻が上がり気味の細目の持ち主だ。
あるいは切れ長の目であって、ツリ目とまでは感じない人もいそうだと思う。実際『ガンスパイク』でナッシュを描いた西村キヌ氏はツリ目に描いてなかった。
だがわしの感覚ではツリ目だと思った。若干悪さを感じる範囲の。

ガイは例外あつかい

同作にはナッシュ以上に目つきの鋭いガイもいる。
だがわしはガイには悪役の疑いをかけなかった。
ガイの場合は東洋人によくある顔だと感じた。このころはまだガイの素性を知らなかったものの、忍者な姿なので日本人だと思った。

悪とは無縁なツリ目キャラもいるという理解は子供のわしにもあった。
しかし眼鏡キャラは悪役という前提から入ったせいで、ナッシュは善いツリ目キャラに当てはまらないと考えたのだ。
もはや結論ありきの状態である。まるで陰謀論にハマる人の思考のようだ。

謎の露出が悪党ファッション

極めつけは前例があるにはあるけど一般的ではない肌の露出の仕方だ。なお前例の話↓
もっと読むナッシュの服装と他社の緑ベスト格闘家

ナッシュは素肌に直接ベストを着る前衛的なファッションをしている。
胸部と腹部ががら空きな格好なのだ。
わしはファッソンなる華やかな分野には疎い人間であり、確かなことは言えないものの、このような素肌の見せ方は日米ともにいまだ流行の先端に立ったことはないと思われる。

なぜ彼はガイルが着るようなタンクトップさえ身に着けないまま、黄色かオレンジ色か公式イラストでも色の塗り方が分かれるベストを羽織るのか。
それは大いなる謎である。
このワイルドな着方が素行の悪そうな人という印象をわしに与えた。

テーマに関係ないがえだやん氏は黄色寄りのベストに、BENGUS氏はオレンジ色寄りのベストに着色することが多かった気がする。
『ZERO』全盛期はアナログ絵。印刷次第で色の出方が変わりそうゆえ、たまたまバラつきが出たのかもわからない。

清楚=善、の反対で

お色気=悪、の図式は現在では通用しなさそうだ。
キャラの善悪を問わず、尻ドーン! 乳ポローン! なセクシーさで売る商売が大手を振っている。
が、21世紀になる前は悪役はセクシー路線な空気感が濃かったと思う。

悪の女幹部は高露出だったり胸の谷間がくっきり出たりな衣装を身にまとうケースが頻発した。
伝説的なアニメでは『ヤッターマン』のドロンジョ様がハイレグ美女
女性向け作品の『セーラームーン』でもクイーンベリルやブラックレディが少女な主役陣と異なり大人のお色気的な雰囲気を出していた。
個人的に物語のつくりが丁寧だと感じたRPGの『テイルズオブエターニア』も味方女性陣と比べてシゼルが圧倒的にバインバインだった。

布地の足りない男性悪役のこと

男性の悪役の場合はお色気を強調するケースが多かったとは言いづらい。
露出過多な男悪役の例をわしがひねり出そうとしてもそう何個も思い浮かばない。
ポンと出せるのが『女神転生II』のダークヒーローである。Googleで検索した絵群、あれパンツ履けてるのかな。

別の記事に、おそらくわしがこの価値観の影響を多大に受けた悪役(というかラスボス)のニニギについて説明した部分がある。よかったらどうぞ↓
もっと読む9.SFC天外魔境ZERO【アドベントカレンダー2024】

物を知らないキッズのわしは男女の別なく、過剰なセクシーアピール=悪といった認識を持っていた。
ナッシュの個性的な格好も、わしの仮説が補強される一因となった。

常人に理解できない着方

これは知らない人もいるかもしれないが、ナッシュには大学に通っていた設定がある模様。
『All about』系列のムック本には大学で生物学を研究していたとの説明があるのだ。
『ストⅤ』以降の設定は不明。
英語の『ストⅤ』ナッシュの前日譚な漫画だとまた違う専攻(心理学)になっていたらしいが未確認。漫画オリジナルっぽい内容なのでゲームとは関係ないかも。

彼は非常識的な格好をしていても知識人層に属するようだ。
いや、逆に賢いからああいう格好をしているのだろうか。
独自の計算にもとづき、bestなvestの着用方法を実行した可能性もあるかもしれないのだ。
だがその思考経路は公開されず、一部のプレイヤー間ではその姿を”変態”と称されもする。
半裸な人よりは肌隠れてるんすけどね。不思議と変態度が増してる気がしますね。

ある日の気づき

『ZERO2』プレイ当時のわしもあるタイミングで「あれ? この人、服の着方が変……?」と気づいた
だがお尻丸出しのキャミィの存在を知っていたので「肌を出すのが普通な世界観なのかな」とも思った。
だからといって悪役疑惑をはねのけるには至らなかった。
たまたまいろんなゲームを扱う雑誌を読んで、キャミィがベガ配下なことは知っており、キャミィにも悪役系のイメージは持っていた。
キャミィの初出は『スパⅡ』かつ正義側のポジションだったが、当時のわしはそのことをよくわかっていなかった。
あとから「ストⅡ時代はベガと敵対してたんだ?」と知った。

相反する疑念

いろいろとナッシュを悪役に見る材料はそろっていたものの、それを否定しうる手持ちの情報はあった。
ガイルである。
わしはアニメ『ストリートファイターⅡV』を一通り見ていた。劇場版アニメもなにかの拍子に見た気がする。
その影響でガイルは善人だと思っていた。

ガイルとナッシュの闘い方が酷似することと、『ZERO2』ギャラリー内にある絵の中にはナッシュの背後にガイルの姿(後頭部と背中だけ)が描かれるものがあること。
ゲームの要素とアニメの情報を組み合わせるとべつの見方もできた。

「ガイルはいいヤツだったから、その仲間っぽいナッシュもいいヤツなのかな……?」

そんなふうに悪人説をころっと反転させる思いも湧き上がった。

『ストリートファイターⅡV』にナッシュも登場するが、外見の共通点が眼鏡だけの別人。
この頃のわしには、あの丸刈り頭な色黒のジャン・レノ似おっちゃんを、ゲームの気取り屋な色白裸ベスト青年と紐づける発想が1ミリたりともなかった。
アニメのオリキャラだと思っていた。それはそれで気に入っていた気がする。

90年代の情報網

ところでナッシュのバックボーンが不明だった件について、「キャラの経歴くらい調べたらすぐわからないか?」と思う人もいるだろう。
若い人ならきっと、ウダウダ考えてないではよググれ、とやきもきするかもしれない。
だがわしには調べられない事情があったのだ。

SS版『ZERO2』の発売日は1996年9月14日。実際にわしが家でプレイできたのはセガサターン本体と同時に得た別ゲーの発売日(1997年11月13日)以降。
この頃は今のようなネット社会に発達しておらず、一般市民のおもな情報の入手先はテレビや雑誌に限られた。
つまり庶民の大部分は情報を受け身で得ることしかできなかった。

ストシリーズは誤字でも有名なゲーム雑誌『ゲーメスト』や大手出版社からの出版物に掲載されていた。
メジャーな書面を追っていけば『ZERO』シリーズの情報は獲得できたと思う。
どっこい、我が家はそういった情報網と縁がなかった。

閑話:家のゲーム本の有無

兄者は確かに『ZERO2』を熱心にプレイした。
普通のコントローラーだけでなく、四角くてボタンがカラフルな重たいコントローラーも持っていた。
ググったらバーチャスティックコントローラーというそう。格ゲーにはもってこいなやつ。
ただ、ストシリーズ用の雑誌を購読するタイプのファンではなかった。

けれどもゲーム雑誌や攻略本を買うことには買っていた。中には画集に近いものもあった。
『ロマサガ3』攻略本は小林智美女史の絵が目当てで兄が買ったことをわしに教えてくれたことは覚えている。
いろんな絵描きによるキャライラストの載った『ファイアーエムブレム 聖戦の系譜』の大判本もあった。うちの兄者は案外、少女漫画系の画風もアリな人のようだ。

スト本の不買理由の推測

『ストⅡ』や『ZERO』が流行った頃のストシリーズは、公式イラストおよびドット絵の画力が多くの同業他社より抜きんでていた。
しかしながら『ZERO』(と『ストⅡ』)の画風は兄者のハートを射止めるには至らなかった……のかもしれない。
兄は筋肉ムキムキなのはそんなに好きでないらしい。本人がそう言っていた。
わしも脳トレがてらにマッチョな人の写真を模写した折、カフェインを多く摂りすぎたときぐらいの吐き気に見舞われた経験があるので筋肉は苦手かもしれない。『ZERO』の絵は模写してもぜんぜん不調は起きない。

もしくはSS版『ZERO2』にはギャラリー機能があるのを理由に、本がなくてもいいと兄者が思ったかだ。
最寄りの店に『ヴァンパイア』シリーズの筐体があったせいか家庭用ソフトは入手しなかった兄者ならやりそうな判断。
おかげでわしは『ヴァンパイア』のプレイ経験がゼロだ。観戦だけしていた。

兄からの情報(無)

雑誌のほかの情報源になりうるものは兄者その人である。
家にはSFC版『ストⅡ』があった。家にはなかったが『スパⅡ』も兄者はプレイしていたという。
かつゲームをやり合う仲間がいた。そんな兄者ならなにかネタを握っている可能性があった。
──が、兄者に聞いてもわからなかったことは覚えている。以下がおおまかな当時の質疑。

わ「このナッシュっちゅう眼鏡の人、ガイルと同じ技使っとるよね」
兄「そうやな。動きはそっくりやんな」
わ「ギャラリーの絵じゃガイルとしか思えん人と一緒に描かれとるよな」
兄「せやね。あの髪型はあいつだけや」
わ「ガイルとどういう関係なんやろな。兄弟?
 マリオとルイージのルイージのほう? 永遠の二番手?」
兄「どうなんやろ。おれもわからん」

こう書いておいてなんだがマリオのくだりをわしは言ってなかった。
ただ兄弟かどうかは確認していた。
二人は闘い方のほかに奇抜な髪型の部分でも似ていたからだ。顔は似てないので血縁者ではないかもと思っていた。

その後の兄者からの追加情報はなかった。探っても有力な情報が出なかったのかそもそもなにもしなかったのか。おそらく後者である。
兄者はナッシュを2番目か3番目くらいに使いこんでいたのだが(1番はケンで次点が豪鬼)、
ナッシュの経歴にはあまり興味なかったのかもしれない。キャラが使えればそれでええと。

再び閑話:ダンのオヤジ発言

兄者が4番目くらいに使っていたダンにも同様なことがあった。
わしがサガット、兄者がダンで対戦をすると、ダンが「オヤジぃ~!」と言う特殊なやり取りが発生した。
しかしわしがほかのキャラを使うと兄者のダンは「オヤジぃ~!」と叫ばない。
この「オヤジぃ~!」発言はサガットに向けられるセリフだった。
そこでわしは「この”オヤジ”ってなんなん?」と兄者にたずねるも「なんやろ」と受け流された。

ご存知の方もいるだろうが、ダンの父はサガットとの闘いのさなかに命を落とした設定がある。
説明書にはダンがサガットに父を殺されたorサガットがダン父を殺したという事情が載っていない。
ダンの紹介文で”オヤジのカタキをブチのめせ!”と記載されたが、それがサガットに繋がるとはわしらに伝わらなかった。

『ZERO2』において、ダンたちの関係性はダンのアーケードモードをクリアすればわかるようになっている。
それを知らない兄者はダンでクリアする機会がなかったようだ。

情報不足環境のまとめ

『ZERO2』はアーケードモードをクリアしないかぎり、キャラクターにまつわる説明が足りない作品だった。
雑誌情報もないわしにとってのナッシュは謎に包まれた青年だった。

闘う目的がわからない,敵か味方かわからない,眼鏡か伊達眼鏡かもわからない,服のセンスが奇抜なのか己の肌を見せつけたい露出狂なのかもわからない、ミステリアスな男だった。

ミステリアスな人物には男女ともにその謎が気になって関心を寄せてしまう、といった傾向があるそう。
たぶんわしがそれに当てはまった。
わしがナッシュの真相に気づくのは『ストⅣ』がリリースされる頃まで待つことになる。

ZERO3でのキャラ紹介の改善

『ZERO3』はアーケードモード開始時に選択したキャラの経歴と闘う目的が明かされるようになった。
『ZERO2』までの情報提示不足を要修正箇所だと判断されたのかはわからないものの、 バージョンアップ版ではキャラを知らない初心者にもとっつきやすくなっていたようだ。

雑誌で知るZERO3の追加キャラ情報

『ZERO3』はわしの家になかった。
さいわいゲームの存在はうっすらと知っていた。
兄者が購読していたマイナーなゲーム関連雑誌の読者投稿イラストに、キャミィやユーリなどの『ZERO3』追加キャラがいたからだ。
そのイラストで「キャミィはベガのコピーなんか、ほえー」や「キャミィは女の子が好きなんやな」とわずかな(偏った)知識を獲得したこと以外、めぼしい新情報はなかった。

ネット検索できないからこそ

少ない公式情報からあれこれ想像する、という行為はインターネットが発達する前の環境だからやれたことだと思う。
そういうのを遊びとして楽しんだ人もいるようだが、わしの場合は本当にわからなくてそれっぽい答えを自分で編み出そうとしていた。

なぜそうまでしてナッシュを気にしていたのかは自分でもわからない。
なにか惹かれるものがあったのだろうか。
確かなことは腹筋もろ出しはわしの趣味でないこと。
もう慣れたのでこれがナッシュだと思う特徴の一つになったが、シャツは着ていいと思う、正義の味方なら。

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