スト6ベガと復活にまつわる伏線? 2024/9/28 B! P L 『ストリートファイター6』の舞台はベガがいなくなりシャドルーが瓦解したあとの世界。 平和になった……と思ったらなんか妙な雰囲気の格闘家が出てきた。 ガイルがすっかり友の仇を討てた気でいたのにその仇相手とおぼしき人が復活したのである。 その件について想像込みで記事にした。 『ストⅤ』キャラクターストーリー(豪鬼のだけ)とゼネストの終盤のネタバレがあるので初見の方は要注意。 ## 公式サイトのガイル紹介文 『ストⅡ』~2003年の出版物の紹介文,『ストⅣ』紹介文,『ストⅤ』紹介文に続く『スト6』の紹介文。今回はガイルをテーマにまったく据えられなかったがお約束的に掲載。 https://www.streetfighter.com/6/ja-jp/character/guile >祖国の平和のために闘う米空軍軍人。 シャドルーを壊滅させ、親友・ナッシュの復讐を果たした。妻子との平穏な日常を喜びながらもその眼は新たな戦場を見据えている。 本作は『ストⅤ』の後、そしてもともとシャドルーが壊滅した設定の『ストⅢ』の後の時代。 ナッシュの件はもう過去のこととなった。大筋では丸く収まった。 ガイルは長らく友のために闘ってきたが、今ではとっくに仇討ち要素がなくても充分な立ち位置を確立している。 あのワイドな髪型としゃがみ待機ポーズがあればみんながガイルだとわかってくれる。 いずれは紹介文からナッシュの名前が外れる日もくるのだろう。 めでたしめでたしと思ったら2024年6月にベガが参戦。 オンライン対戦でベガのいない最新作はたった1年しか保たなかった。 一応『ストⅤ』からは4,5年ほど経った舞台だろうけれど、それでも数年。ナッシュが体を張った甲斐がない。 ナッシュが登場しなくても幸が薄まるという、また別次元の不運さが露呈した一幕である。 ### ストⅤ描写の軽視部分と希望 『スト6』にベガが参戦した事態に一部「ナッシュがしたことが無駄だった」という声が上がった。 わしも発表直後は「踏んだり蹴ったりになった」と思ったのは確か。 しかし今では逆に『ストⅤ』でプレイヤーが受けた印象を絶対視しないでくれて安心できる要素でもある。 ベガはもともと続投を決めていたらしいのでベガだけが特別かもわからんですが。 復活のハードルの引き下げにはなってる気はした。 この調子で**元もどうにかならんかと思う**。 えっ、そこはナッシュじゃないのかって? それはまたあとで。 元はBENGUS氏がイラストを担当した紙芝居劇での退場がナッシュとは別角度でいい死に方してないとわしは感じた。 ナレーション死の一種みたいなもんでしょう、あれ。 おまけに天下のカプコンゲーにしては絵のクオリティが高くない。制作期間が短かったそうでそこは仕方ないかと存じますけども。 ただ無言のYESに受け取られたくないのでわしの気持ちをここに残す。 **『ガンスパイク』のパッケージ絵を描いてたころの画風に戻らないかなぁ……** あ、冒頭で予告したキャラストのネタバレはこれで終了です。ベガ話とは関係ありません。 ## 復活のベガ 今回のベガは過去の記憶を失った状態。 ベガの声優変更(若本規夫→楠大典)や『ストⅤ』のお話的に、 またベガが誰かの体をぶんどった? とか、 スペアボディのどれかがベガとして動いてる? とか、 ベガの残留思念に影響を受けて自分をベガだと思い込んでる一般人? などなどプレイヤー間で予想されていた。 多くの予想に共通するのはだいたい『ストⅤ』のベガ本人ではないだろう、ということ。声違うしね。 どっこい制作者によると体と精神は『ストⅤ』のベガと同一だそう。↓ 『スト6』ベガ、テリー、不知火舞、エレナが登場するYear2インタビュー。ベガは肉体も中身も正真正銘のベガ本人。~ ### 早期ネタバレの感想 ずいぶん早くにネタバレするんすね。 ネット記事の日付は2024.06.12 00:00更新と明記してあります。 ベガの使用解禁日の6月26日よりも早いです。 プレイヤーがベガに出会ってから考察する暇すら与えていない。 そういう設定はゲームをプレイしたときに伝わるのが理想だと思いました。そのあとで設定資料集で種明かしするのがよくある手。 DLCリリース前のインタビューを受けて素直に全部明かしてしまったサービス精神旺盛なやり方なんでしょうか。 あとDLCは前もって内容を知らせておかないと買ってもらえるか心配だから、とか。 それとも、客はぜんぜんセリフやストーリーの深読みをしてくれない! 脳筋どもに見切りつけてとっとと正解を教えてやる! という判断なんでしょうか。 前作は世界観づくりとストーリー面に力を入れている姿勢が見えました。 にも関わらず、物語の評価が低いところはありました。制作者の中には なにくそっ と思った人もいるかもしれんです。 ### ベガの変化 ベガの人格が一部変わった。以前ほど悪事に興味がないらしい。 今のところ関心が自身の失った記憶のほうに向かっている。 おおまかな性格は変わらず、高圧的で野心のあるオッサンのままである。 結局は偉そうな中高年からブレない。そういうのが個性だからそれはいい。 記憶がきっちり戻ったあとはまた以前のような組織犯罪をしだすかもしれないし、そうならないかもしれない、中庸な立ち位置にいる。 そのへんは次回作の『スト7』? を作るときの制作者に任せる方向なんでしょうか。 今後どう転ぶかわからないものの、ベガが『ストⅡ』でも垣間見せていた格闘家としての欲求に生きるんだったら一件落着。 現状のままならナッシュも不満はないかもしれない。 『ZERO』の頃のナッシュは罪を憎んで人を憎まずの精神があった。対バイソンやキャミィ等のセリフをわしはそう解釈した。 極悪人のベガと対面しても人権優先で法の裁きを受けさせようとするところに分別があった。『ストⅤ』はそんなことをやってられる余裕も他人への信頼もなくなって怖い性格になったけど。 ベガが元通りの悪党になったらナッシュの可哀想さは増しそう。 ただそれまでにナッシュも復帰していたらどっちもどっちなので話は変わる。……復帰するのかな? #### 楠ボイスでないベガ思念体 ベガの担当声優が変更された一方、『スト6』内に点在する残留思念のほうの過去ベガは若本ボイスだそう。 ベガ役で二人も声優を使っている異例の事態。 映画やアニメでは同じ人物が子供から大人,青年から中高年の年齢経過で声優が変わることはあるが、**ベガは両方ともオッサン**である。 声質や演技が別人級に変わるような年齢でない。 楠大典氏が今作からのベガ新担当、という見方は合ってるようで少し違う気がする。 声優変更は記憶喪失なベガと以前のベガが記憶の有無以外のなにかが違っていることの表れか。そこんとこも謎。 以下余談。楠氏は3Dアニメ映画の『シュガー・ラッシュ』でベガを担当していた。 その縁で担当になっていそう。映画の出番は一言程度のセリフで終わっていたので正直なところ印象が薄いです。 どっちかというと監督の独断で悪役認定を受けたザンギエフのほうが意外性で記憶に残ってます。 監督はアメリカで放送されたアニメ『ストリートファイターUSA』(※当時のタイトルは普通に『Street fighter』)の視聴者だったんでしょうか。その世界だとザンギエフは悪者。 アニメと地続きのサワダ初出実写映画もザンギエフはシャドルー所属。でもそっちは途中で寝返るらしい。わしは両方とも未視聴です。 ## 淡口サイコパワー ベガの戦闘スタイルが飛び道具無しに変更。 紫色なエフェクトのかかるサイコパワーな技を使いはするものの多用はしなくなっている。 そう変化した理由をわしが考えたら4つ浮かんだ。 1. 前よりも物理に頼る闘い方が好きになった 1. 『ストⅤ』ゼネスト終盤でナッシュにサイコパワーを吸い取られてパワーの総量が減った 1. サイコパワーは憎悪によってパワーアップするため自他ともに憎悪が減って弱体化 1. 他にパワーを使っていて戦闘で活かす余力が足りなくなった 4番目の、パワーの使い道のひとつは対戦時に毎回連れてくるお馬さん。 この馬は死にかけてたところをサイコパワーで延命したという。 ただ馬はベガが出会ったときに一回注入したっきりで元気一杯になってる感じもある。 もうひとつはベガ自身の『ストⅤ』でボロボロになった体。 手の傷がちゃんと治っておらず、そこも含めてサイコパワーで騙しだまし動かしているのかもしれない。 肉体の再生と維持のために力を割り振ってる、なんてこともあるのかと思った。 ベガの体はただのわしの憶測だが、馬のほうは確実に瀕死の状態をサイコパワーで復活した設定。 今までは肉体の強化や自身のケガの修復に費やしていて、他者の治療のために自身のサイコパワーを使ったことはなさそうだった。 こんな力の使い方もできるのか、と思ったらもっと前からそういう力を使う人がいた。 ### 癒しパワー効果のもと 傷を治す能力は中平先生の漫画『ストリートファイターZERO』で描かれたローズのソウルパワーにもあった。 同作に相手を拘束する技もあったらしく、それが『ストⅤ』で追加された【ソウルバインド】の元ネタになっていそう。 漫画の後に出たSRPGの『ナムカプ』でのローズは回復役な性能だった。 ただし低難易度と評判なゲームゆえに、HP回復よりは敵のMP吸収や味方を再行動させる攻め系補助スキルのほうが便利でインパクトがある感じ。 でも全体回復ができるキャラは少ないのでやっぱり強力なヒーラー枠だと思う。 シミュゲーは回復手段がなんぼあってもええですからね。以下他ゲーの実例2種。 『FE外伝』or『エコーズ』の女主人公セリカは回復魔法を一個だけ使える魔法戦士で、その一個にプレイヤーが助けられてるとこがある。 『FE暁の女神』の序盤主人公のミカヤ固有スキル(癒しの手)も物資と回復役が少ない序盤の救済措置っぽかった。 ただ欠点があり、回復量=自身のHP減少量は非実用的だった。そこは全回復効果を無しにしていいから外伝方式のHP-1~3くらいにまけてくれんかとリメイクに期待。 #### ソウルパワー寄りに変化? 『ナムカプ』ローズの回復スキルはゲーム性の都合で取り入れた能力かと思っていた。 格ゲーである本編には関係ないと。でも【ソウルフォーチュン】白に2022年3月に微妙な回復効果が追加された。 ベガもこうなるといよいよ回復機能が本採用になりつつあるかも。 知らない人向けに説明するとソウルパワーとサイコパワーは根っこが同じ種類な力だと言われる。 中でもサイコパワーはソウルパワーの上位互換のようなものらしい。 だからローズにできたことはきっとベガもやれる。向き不向きはあるだろうけど。 ローズがヒーラーやってたんならベガもイケる、という発想で馬を救う展開ができたのかもしれない。でも前から他者の肉体強化には使ってたのでその延長上かもしれない。 ベガの馬の存在はベガが自分以外の生き物を慈しむようになれたということなのか、ただの気まぐれか。 今作はプレイヤーの分身なアバターが格闘家に弟子入りするシステムがあり、師匠が弱者を容赦なく切り捨てる姿勢だと矛盾が生じる、というゲーム性との折り合いかもしれない。 とにかく昔とは違ってきている。以前なら最初から元気な馬を捕まえて使役していそう。 まさかあのベガに”癒し系”という名詞が付きうることになるとは想像できなかった。 方向性がだいぶ変わりましたね。いやいいんすけど。 ## なぜベガが生きていたか わしはよくわかってないです。今出てる情報もはっきりしたことはまだ不明な模様。 ただ、ベガが肉体を変えずに続投した、という設定部分を考えてみると、一応は前作に意味深な演出があった。 『ストⅤ』のゼネストの最終盤で意図のよくわからなかったシーンがある。 いや状況の意味はわかる。春麗にガレキが落ちてきそうなところをリュウが波動拳を打ってガレキを除去する、という場面。 その**波動拳は思いっきり春麗を巻きこんでいた**。助けようとして手元が狂ったわけではなさげ。こんなピンチにそんなコントはしない。 波動拳が直撃したにも関わらず春麗に被害はなく、反対にバリアのような役割を果たしていた。 いつも対戦時に相手をボコボコにする波動拳が人には命中していない。 漫画で例えると『うしおととら』の妖怪(とソーセージとかの物)だけを斬って人は斬れない獣の槍のような当たり判定になっていた。 初めわしは「**このやり取りいる?**」という違和感と**尺の無駄遣い**を感じていたが、ベガが復帰したと知ると印象が180度変わった。 ### 波動拳の救助効果 春麗救助シーンの前にリュウはベガと闘い、トドメに波動拳を喰らわせていた。 喰らったベガは体がひび割れ、割れた箇所から波動拳と似た青白い光が見えた。 その波動拳が最後の一撃になってベガは倒せたと誰もが思っていた。 もし、最後にベガに当たった波動拳は春麗を助けた効果と同じやつ、しかも獣の槍的なやつだとしたら。 ベガの体そのものには致命的なダメージが入らず、悪いパワー部分を集中的にぶっ飛ばしていた、のかもしれない。 その結果が『スト6』の憑き物が落ちたようなベガの誕生……だったりする? #### そんなことなかった場合 リュウが普通にいつもの人を倒す波動拳をベガに使ってたんだとしたら上記の話はまったく意味ないです。 そして春麗を波動拳で助けるシーンがやっぱり挿入する目的のよくわからないシーンということになりそうです。他のそれらしい理由は思いつけないっす。 なんで直前まで人をボコってた技が急に人への当たり判定を失くすのかよくわかんないっす。 そういった混乱をプレイヤーに与えてでも見せる意図といったら、**リュウが人を傷つけずに救う波動拳を編み出し、それをベガに使った**という答え合わせなんじゃないか、とわしは思いました。 しかしベガの弱り表現やガイルの熱血表現がまるで伝わってこなかったゼネスト。 意味ありげで特になにも意味のない演出じゃないのかと指摘されたら**否定できない**。 全体的にイマイチな作りで通してきたものを、特定の一場面だけ設定が練られているとは信じぬけないっす。 ## 総評 制作者にベガ使いがいるかぎり、ベガは登場し続けるのでしょう。 真面目な話、人気ある悪役を退場させるとその後に魅力的な悪役を作れなかったときに苦労するので続投安定。 新キャラのJPは良い感じに悪人やってるけれどあんまりプレイヤーからの好感度は稼げてない感じ。これからの見せ方次第だとは思う。 ベガだって映画やドラマCDの出演に、『ポケファイ』のふざけた背景役をやってて今の人気を築き上げてますんでね、ゲーム一作だけでキャラ評価を決めちゃかわいそうってもんです。 わしが一番気がかりなのはナッシュ。ベガと同じく『ストⅤ』で死んだかと思われた。 ベガが生きている、しかもサイコパワーの性質が前とちょっと違う? となると、そのサイコパワーを大量に摂取してたナッシュはどうなったのか。 こっちは正直いなくても世界観やら物語やらがなんとかなるポジションなせいでベガほど復帰させる動機はない。 でも余白めいた部分がわしには見えた。なんにも情報がないけれどナッシュのことも次回記事にする。→ ナッシュの生き残り案へ。 Street Fighter #ガイル #ナッシュ #ベガ