6.複合:超必殺技のあるSFC格闘ゲーム【アドベントカレンダー2024】 2024/12/9 B! P L スーパーファミコンには様々な格闘ゲームがあった。 そして我が家にもいくつかあった。この記事では2D格ゲー作品を複数いっぺんに扱う。 話題に出すのは人気漫画をゲーム化した『**幽☆遊☆白書FINAL 〜魔界最強列伝〜**』,『**美少女戦士セーラームーンS 場外乱闘!? 主役争奪戦**』,『**美少女戦士セーラームーンSuperS 全員参加!! 主役争奪戦**』。 そして我が家にはなかったがこれら3作と共通するものを世に初めて出した『**龍虎の拳**』について触れる。 ## 版権物の格闘ゲーム集 90年代、世は格闘ゲームブームに湧き上がっていた。 有名な漫画作品のゲーム化も流行した。その掛け合わせで漫画作品の格闘ゲーム化が起きた。 もとがバトル漫画な『幽☆遊☆白書』が格闘するのはわかる。 しかし少女漫画かつ**作中の蹴る殴るのシーンはそんなに多くなさそうな『セーラームーン』も**アクションゲームが複数出ていた。 わしはどちらの漫画も漠然とした内容を知るにわかファンなため、れっきとしたファンに向けたことは書けない。簡素な説明になるがご了承ください。 ### 幽☆遊☆白書FINAL 〜魔界最強列伝〜 冨樫義博氏の漫画を格闘ゲーム化した一作。1995年3月24日にナムコ(当時はナムコット)から発売。 この前にも同社から同じ原作漫画のゲームは出ており、ビジュアルバトルというジャンル名で格ゲーとは少し違う対戦物な『幽☆遊☆白書』,『幽☆遊☆白書 特別篇』と、格ゲーの『幽☆遊☆白書2 格闘の章』があった。 その後はバンプレストとタカラトミーがそれぞれ『幽白』のゲームを出した。ナムコが出す『幽白』としては最後の一作。 時系列は魔界の扉編の終盤から魔界統一トーナメント編。魔界では闘わない桑原と仙水もプレイアブルにいる。 キャラグラが小さめだが格ゲーとしての評判はよい模様。 #### おぼろげ不確定な小話3種 わしは手軽に技を出せていた覚えがあり、後述作品のオートモードのようなものがあったんでないかと長年思っていた。記事を書くにあたりググるもそういうモードの話がなかなか出てこない。 チビッ子で当たり判定が小さい修羅で超霊撃(≒超必殺技)を連発できてた気がするが、あれはなんだったか。 まさか波動拳しか出せないような人間が長いコマンドをちゃんと入力できたのか、記憶があいまい。GB版『サムスピ』(2種類のどっちかは失念)でハメ必殺技は使えたので一芸特化でやれたかもしれない…… と、考えていたら個人サイトで”難易度「よわい」、**なおかつボタン一つで技が発動するよう設定**”との説明があった。わしもきっと簡略設定で技を出せていた。 該当サイトはこちら→幽遊白書FINAL 躯の衣服がアニメや『モンスト』コラボでは中華っぽさがあったが、今作の対戦中のドットグラフィックではタンクトップ姿。 原作にある格好らしい。だがわしは漫画を最後まで読めてない。 同作の魔人幽助が強いと評判で、その技に空中飛び道具がある。豪鬼の斬空波動拳のような技。 豪鬼も強キャラであり、空中で打てる長距離技は格ゲー的に強いのだとわしは思っている。しかし格ゲーをやりこんでいないので想像の話。 ### 美少女戦士セーラームーンS 場外乱闘!? 主役争奪戦 武内直子氏の漫画を格闘ゲーム化した一作。1994年12月16日にエンジェルから発売された。開発は**アークシステムワークス**とTNSの共作。アークシステムワークスはのちに格闘ゲーム『**ギルティギア**』を生み出す会社。 この一作の前にベルトスクロールアクションゲームの『セーラームーン』と『セーラームーンR』があった。 Rのおまけ的な対戦モードで格ゲーチックなプレイができた(たしか上下の移動軸があるので厳密には従来の格ゲーと違う)が、Sが初の正式な格闘ゲームとして登場した。 原作が女性向け、あるいは一部の大きなお友達向けということもあってキャラゲー扱いされた時期があったそうだが、順当に格闘ゲームしていた。 #### モダンタイプの先駆け 想定するプレイ層に格ゲーに不慣れな女児もふくむため、また前作のアクションゲームが高難度だったせいもあるのだろうか。 このゲームではL(弱)orR(強)+ABXYボタンの組み合わせで**必殺技を簡単に出せるオートモード**が搭載された。 『ストリートファイター6』で初実装された**モダンタイプとやってることはほぼ同じ**。そっちはLRじゃなくて方向キーだけど。 世界のストシリーズが取り入れたことを30年近く前のゲームでやっていた。 細かいことを挙げれば初心者向けの特別仕様を搭載したことはあった。 『ZERO1』,『ZERO2』のオートモードをセレクトすると自動でガードする機能と、レベル1限定のスーパーコンボを簡易コマンドで出せる設定にできた。 必殺技を簡単に出すモードはなかったが、間口を広げる努力はしていた様子。 でも『セーラームーンS』のオートモードに比べたら**中途半端でどうしたらいいかわからん**と当時のわしは思っていた。 ストシリーズがモダンタイプを入れるまでにいろんなせめぎ合いがあったんだと思う。 #### 他作品と似通う必殺技 当時のわしはまったく気づかなかったが、超必殺技の中に他の格ゲーキャラの動きと似るものがある。 ジュピターの【ライトニングストライク】 ↓ 『餓狼伝説』のテリー・ボガードの【バーンナックル】 ヴィーナスの【チェーン・エクスプロシブ】 ↓ 『餓狼伝説』のテリー・ボガードの【パワーゲイザー】 ネプチューンの【ドラゴンライズ】(と通常必殺技の【スプラッシュエッジ】) ↓ 昇竜拳 人によって判断が分かれるが、マーキュリーの【ウォーターブリット】=『餓狼伝説』のアンディ・ボガードの【超裂破弾】の上昇部分まで、も似ているといえば似ている。 他にウラヌスとプルートの連続攻撃な超必殺技が『龍虎の拳』の【龍虎乱舞】かと指摘する意見もあった。 それはすでにある攻撃モーションの詰め合わせセットだとわしは感じた。どうとも言えない気がしている。 一番他社作品を意識してそうなのがネプチューン。 技のエフェクトが水ゆえにその華麗で上品なグラフィックに騙されていたが、**よく考えたら昇竜拳まんま**だった。 しかも超必殺技の名前が【**ドラゴンライズ**】。さらにまんまである。だからといって権利問題はとやかく言われず、おおらかな時代だった。 ### 美少女戦士セーラームーンSuperS 全員参加!! 主役争奪戦 前述のSのアッパーバージョン。1996年3月29日発売。発売元は同じくエンジェル。開発元はモノリスとメイクソフトウェアに変更された。 エンジェルはバンダイ系列の会社だったそう。モノリスはSNK作品に関わってたネオジオゲームのサードパーティーらしい。 前項では触れなかったがストーリーモードがあり、 両作品ともに『セーラームーン』の初期メン5名+ちびうさが主役の座をバトルで決めるお話となっている。 ウラヌス,ネプチューン,プルート,サターンはストーリーモードで選べず、対戦モードでのみ使用可能。 #### 制作会社が変わった弊害か 前作はバランスがよかったと評判があがる一方、今作は新規に追加(入れ替え)された技の強弱が極端であるとして評価を落とした模様。 とりわけ新キャラのサターンがどの技も高性能で強く、キャラバランスが取れていないと言われる。 中でも斬空波動拳的な空中飛び道具の攻撃判定が広い。一見するだけで「これは強いわ」とわしも思った。豪鬼でもやらない幅広さ。 けっして遊べないわけでないが、前作の調整がよくできてたからこその批判のようである。正直なところCPU戦で遊ぶ分にはなにも気にならなかった。 対戦ゲームとしてのバランスを取る、となるとやはりギルティギアシリーズを出したアークシステムワークスが格ゲー作りに向いてた会社だったのだろうか。 TNSとの共作だそうでそちらの影響もあるかもしれない。 なにぶんTNSは検索しても情報が出てない会社なので**わしにも分からん……** なんで太字強調するの? と疑問に感じた人は「わしにも分からん 藤堂竜白」で検索してみよう。次に紹介するゲームに出てくる言葉。 ## 超必殺技の元祖・龍虎の拳 1992年9月にSNKよりリリースされたアーケードの格闘ゲーム。 誘拐されたユリ・サカザキを助けるため、極限流空手の使い手のリョウ・サカザキとロバート・ガルシアの二人がサウスタウンを舞台に闘うストーリー。 リリース当時は**100メガショック**という謳い文句を強調した一作。 この”メガ”はメガビットのこと。8メガビットで1メガバイトになる。1024メガバイトで1ギガバイト。 『幽白FINAL』は 16Mbit(メガビット)ROMカートリッジを使っており、『セーラームーンS』は20メガビット、『セーラームーンSuperS』は24メガビットだった。 SFCソフトの最大容量は48メガビット。該当するソフトは前記事の『スターオーシャン』と『テイルズオブファンタジア』の2つ。 これらSFCソフトと比べると文字通りケタ違いの大容量だった。アーケードだからできたこと。 『龍虎の拳』はSFC移植版が1993年10月29日に発売された。その容量は**16メガビット**。 102メガビットあったというアーケード版から削りに削って、それでも良作にまとまったと評判。 のちのち『龍虎の拳』の登場人物は『KOF』にも登場するようになる。 ### 最初の超必殺技導入作品 対戦格闘ゲームの名を広めたのはカプコンの初代『ストリートファイター』だった。 『スト1』の必殺技は相手に3回当てれば勝てるほど体力ゲージをごっそりもっていく大技。 『ストⅡ』以降は威力が抑えられ、その調整が他の格闘ゲームでもスタンダードになった。 そういった必殺技を超える必殺技、という概念のもと、特殊な条件下で使える**超必殺技**が生まれた。 初出の『龍虎の拳』ではボーナスゲームの「超必殺技伝授」をクリアしたら使える【覇王翔吼拳】,体力が減少した状態で使える隠し必殺技の【龍虎乱舞】が搭載された。 当記事で先に挙げた格ゲー3作はいずれも体力ゲージが少なくなったときに強力な超必殺技が使える。 ピンチになってもそれをひっくり返せる大技、という位置づけ。 その技のベースが『龍虎の拳』にあった。 格ゲーには残存体力と無関係な大技もある。 専用のゲージがたまると大技を出せるシステムが『スーパーストリートファイターⅡX』で生まれた。 誕生のきっかけは『龍虎の拳』の超必殺技かもしれない。 #### 初の気力ゲージ 必殺技を使うのに気力ゲージが必要というシステムも『龍虎の拳』が初めて生み出した。 『幽白FINAL』には霊力ゲージがあり、このゲージがないと霊撃(必殺技)と超霊撃(超必殺技)が使えない仕様。 必殺技の連発がきかないため飛び道具連射のジリ貧な闘いができず、必殺技頼りにならない駆け引きも醍醐味になった……と思われる。 わしは格ゲーをやり込んでおらず、『龍虎』の知識の大部分は半公認な個人サイトの『墓標』によるのでプレイ感覚について正確なことは何とも言えない。 『スマブラ』など外部出演の多い『餓狼伝説』と比べて知名度が一段下がるイメージがある『龍虎の拳』だが、いろんな作品に影響を与えていた。 尺と投稿者がにわかプレイヤーな都合でここで紹介は終わる。 くわしいことを知りたい人は老舗サイトの『墓標』さんへ行きましょう。 これ以降のお話はクセが強いというかヨタ話になる。時間や精神に余裕のない方は非推奨。 ## 余談:格ゲー化希望の声 90年代は町中を歩けばなにかの格ゲーに当たるほど格闘ゲームがありふれていた。へんぴな立地の個人商店にも格ゲーの筐体が置いてあった。 そのせいか、わしが読んだゲーム雑誌(名前失念)に収録された記者の対談の中に、奇妙な言説があった。 乙女ゲーム(※わしにとっては育成シミュゲー)の『アンジェリーク』にもそろそろ格闘ゲームが出ないかとの要望が載っていたのである。 その理由はたしか**男キャラが9人もいたら闘える**的なものだった。 変に素直な部分があったキッズのわしは「男キャラが9人いたら格闘することがあるのか」と心に刻んだ。きっとそんなことはない。あったとしても一般化できないきわめて特殊な状況である。 ### 非格闘ゲームからのアクションゲーム化 猫も杓子も殴り合わせたがる血の気の多いゲーマーがいる時代があった。 某ネオロマンスゲームはどう考えても肉弾戦に向かないキャラが大半を占めていたものの、そんなことは些細な問題だったのだろう。 くだんの論調からは、既存の非格ゲー作品も格ゲーとしてリリースされうるハードルの低さをわしは感じた。このコメンテーター個人が変人だった可能性もなくはない。 この話に関係させていいのか謎だが、女性向け恋愛ゲームの『ときメモGS2』をモデルにしたと噂もあるインディーズゲーム『学園ハンサム』はご存知だろうか。 そのシリーズが2Dアクションゲームの『学園ハンサムFighters』を2023年4月5日にリリースした。 参考の4gamer記事→ドット絵でも尖ってる。2Dアクション「学園ハンサムFighters」がSteamとBOOTHで本日発売。スマホ版発売の可能性も? 男キャラが5人いたらベルトスクロールアクションでは闘えるようだ。 ちなみにわしは絵面からすでにお笑いと狂気を感じる『学園ハンサム』について、アゴが凶器になることくらいしか知らない。 『アンジェリーク』についてはこの記事と同じアドベントカレンダー企画で記事を公開中。興味ある人はどうぞ→2.SFCアンジェリーク【アドベントカレンダー2024】 こうしてみると女性向けのゲームが意外と家にたくさんあった。その理由はわからない。 とりあえず『幽☆遊☆白書FINAL 〜魔界最強列伝〜』は我が父がパチンコの景品でとってきたと兄が言っていたのでそれらも同じ入手経路だと思う。 ゲームソフトサプライチェーンの一環である。この聞きなれない造語の初出記事→ZERO2に出会うまで―セガサターン入手と同時に得たゲーム ゲーム #アドカレ2024 #格ゲー