2.SFCアンジェリーク【アドベントカレンダー2024】 2024/12/3 B! P L 『アンジェリーク』は1994年9月23日に光栄(現コーエーテクモゲームス)が発売した女性向け恋愛シミュレーションゲーム。 世界初の女性向け恋愛ゲームだそう。だが**我が家では知ったことではなかった**。 わしにとってこれは育成ゲーム、あるいはライバルより先に陣地をぶんどる国盗りゲームである。 アンジェリーカーともいうシリーズファンは攻略対象の男性キャラを作中の女王候補同様に、様付けで呼ぶこともあるようだ。 しかしわしはそういった呼び方はどうも肌に合わないので別の敬称をつける。 ## ゲーム概要 宇宙を治める女王の力が衰え、次期女王を選ぶ試験が行われることになった。 女王候補は二人の王立スモルニィ女学院の生徒。 プレイヤーは金髪な少女のアンジェリーク・リモージュとなり、ライバルのロザリアとともに試験に挑戦する。 試験内容は光・闇・風・水・炎・緑・鋼・夢・地の力を司る9人の守護聖の協力を得て、惑星の大陸を育成すること。場合によっては試験をクリアせず守護聖との恋愛もできる。 天空に浮かぶ飛空都市を舞台に、女王候補がどういった結末を迎えるかはプレイヤー次第。 ### 大陸の育成 主人公とロザリアはそれぞれ大陸が与えられ、その土地を豊かにさせていく。 より早く発展を遂げたほうが女王になるという試験。 発展のためには現地住民の代表者である大神官が希望する力……でなくてもいいので守護聖に依頼して力を贈ってもらう。 依頼するごとに主人公のもつ力は失われ、一日経過するとまた力が戻る。その繰り返し。 守護聖の力が大陸に10たまるごとに家が建つ。演出的には守護聖たちが不思議パワーで家をつくる建築家なのかと思いそうだがそうじゃない。 作中の説明では大陸住民による感謝の証として建てた家。守護聖の力ごとに家のデザインは異なる。 ### 守護聖との交流 大陸の育成には守護聖の力が必須である。 彼らの力を借りるたびに少しずつ親密度が上がる。また、会話したり休日に一緒に出かけたりすることでも仲良くなる。 親密度が高まった守護聖は、依頼をしてなくても勝手に大陸の育成あるいは相手側の妨害をするようになる。 いかにこの自発的な行動を促せるかによって勝敗が決まると言っても過言ではない。 また、28日ごとに定期審査が行われ、その審査対象が大陸の建物数か**守護聖からの人気**のどちらかで勝敗が決まる。勝てば一日に使える力が増える。 人気審査は一人一票なので数多くの守護聖の親密度を高くすることもまた攻略上要求される。**男たらしになれ**ということである。現女王補佐官のディア様に相談するとそういう趣旨の助言をもらうときがあった。 どちらで審査されるかはランダム。状況によってリセットも可。 ## 我が家のプレイ事情 わしには『ストリートファイターZERO2』をよくプレイした兄のほかに姉もおり、その二人がこのゲームをプレイしていた。 そう、**兄もプレイしていた**。 当時はまだ恋愛ゲームのジャンルは一般的でなく、なんかファンタジー系のゲームかな? と兄は思ってたようだ。 このゲームの絵柄はゴリゴリの少女漫画風。しかし見た目で中身は推し測れなかった。 兄は少女漫画チックな画風でバリバリ戦う『ファイアーエムブレム 紋章の謎』や『ロマンシング サ・ガ2』のプレイ経験のある人だった。 それゆえ、勘違いをしてもしゃーないと読者の面々には理解のほどお願いしたい。 ゲームに限ってはバトルがしたい戦闘狂な兄は途中でやめてしまった。現在の当人はすっかりプレイ当時のことを忘れている。 ### 星座と血液型による相性値 主人公およびライバルは星座と血液型によって守護聖との相性の良さが変わる。 相性が良い状態だと、そうでないときと同じ行動をとっていても親密度の上がり幅が大きくなる。 兄も姉も同じ守護聖とめっちゃ仲良くなっていた。 その相手は一番偉そうにしていて実際古株な光の守護聖**ジュリアス**(※呼び捨て)である。 SFCのパッケージ絵では向かって左側に顔が大きく描かれる金髪ロン毛の人。 兄と姉はリアルと同じ星座と血液型を設定しており、その結果としてジュリアス(※呼び捨て)と相性がよかったのだ。 ネットで調べてみると守護聖には相性がよい血液型という概念がある。 うちはA型兄弟ゆえにジュリアス(※呼び捨て)と仲良くなりやすかった。 日本人のおよそ4割がA型であることは有名な話だ。 つまりジュリアス(※呼び捨て)は**日本人の4割にメロメロになりやすい男**ということになる。 A型の人がプレイする際はこの光の守護聖に頼ると攻略が楽になるかもしれない。 ただし星座に左右される相性値もある。血液型だけがマッチしていてもスムーズに仲良くなれるかはべつの話になる。 ## 守護聖がらみの謎 わしが感じた疑問をここに載せる。 疑問箇所はだいたいの人がそうだと思えるものが多いと思いたい。 この疑問に対するわしの意見は**同意しないほうが普通の感覚**かもしれない。 ### 初対面での不機嫌顔 親密度が初期値の状態で守護聖の執務室に行くと、のっけから不満げな顔をしてくる人がいる。 クラヴィスさん,ゼフェルくん,ルヴァさん,オリヴィエさんの4人。 このうちのルヴァさんは困り顔、オリヴィエさんはニヒルなすまし顔で、怒っている様子はない。 残り二人が**ほんとに女性向けの恋愛ゲームか**と疑問をもたげる不機嫌さを出してくる。 事情を知ればキツく当たってくるのも無理ない人たちなのだが、なにも知らない状態では「なんかわたし(まずいこと)やっちゃいました?」と尻込みするプレイヤーが続出したんでないかと思う。 嫌われた状態で会うならこの対応もやむなしなのだが。 #### ツンデレ演出? なんの目的があって不機嫌顔を初期値で見せるように設定したのかは謎である。 ツンツン状態から普通顔に移行する際に「やった! 仲良くなれたわ!」といった手応えをプレイヤーに与えようとしたのか? そこを乗り越えられず「こわ……近寄らんとこ……」となる人もいそうだ。 初手で突き放してくる守護聖に育成依頼をせずにいると、そのうち大陸の力が不足し、育成の希望がくることがある。 仕方なくしかめ面を拝みながら育成依頼をしたリモージュちゃんも世間にいるのではなかろうか。 ゲームの中でまでキツい同僚なり上司なりにお伺いを立てにいくプレイングを強いるとは**制作者はドSなのだろうか?** 慣れればなんてことはないが、慣れるまでは他の普通に対応してくれる守護聖へ頼りきりなプレイもあったんでないかとわしは想像する。 そういう面では偉ぶってて本当に出自(大貴族)と立場が偉くても普通顔で対処してくれるジュリアス(※呼び捨て)はいいヤツである。 何度も(※呼び捨て)と補足して「ぜんぜん敬称つけないじゃん」と思う人も出てきただろうが、彼を呼び捨てにする理由はわしの気持ちの問題である。 ファンには悪いが、わしには彼の**笑顔グラフィックがキャラ崩壊してる**ように感じた。そしてネタキャラの空気をかぎとった。それ以降は妙なイジリをしてもいい対象だと思っている。 GBA版などの移植およびリメイク作品では普通な笑顔に修正されたようだ。おそらくSFC限定の話。 ### 土の曜日の来訪 一週間に一度、主人公たちが育成する大陸を視察しにいく日がある。 そこで大陸の育成に必要とされる力の傾向を知る。女王試験に欠かせない日課。 そんな大事な日に**主人公の部屋へやってくる守護聖がいる**。 彼らは主人公を遊びに誘ってくるのである。 守護聖なら全員が共有していそうな日課だが、それを無視してくる不届きなやからがいるのだ。 これはあれか、重要な用事をすっぽかすほど大事に想われているかのテストをされているのだろうか? **仕事と私のどっちが大事なの?** という問いかけなのか? この誘いに乗って視察へ行かずにいると、視察担当の研究員(パスハ)が次に会ったときにどえらい怒り顔で小言を言ってくる。 クラヴィスさんやゼフェルくんの不満顔なぞかわいいぐらいの**鬼の形相**である。 そういう恐怖に耐えてでも優先してくれるかどうかを試しているのだろうか。重いなぁ…… 土の曜日は大陸視察以外にやれることがないため、大陸育成に無関心な人にはむしろラッキーな展開なのかもしれない。 恋愛ENDを目指すと大陸の発展の良し悪しは関係なくなるようだ。 #### 来訪時の対処法 来訪者の誘いを断るときは、部屋に招き入れてから断るよりは無視したほうが親密度は下がりにくいらしい。 視察に行きたいが嫌われたくないプレイヤーは居留守を使うか、前日セーブしていたらリセットでやりすごすこととなる。 わし個人の考えでは一度部屋に入れたい。 そして**女王候補の日課を知らんのか**とスケジュール帳を相手の目の前ゼロ距離に開いたのち、今後同じことが起きないように問い詰めておきたい。 しかし、そういったパワハラ上司的な指導は攻略上推奨できない。そもそもスケ帳もない。 生徒手帳は主人公が持っているらしいが、どうやらソフトに付属する説明書のことのようだ。ゲーム序盤でメタい説明をクラヴィスさんがしてくれる。 ## エンディングに関して 都合8種類のENDがあるそう。 普通にプレイしていれば主人公かロザリアのどちらかが女王になり、その後の二人の生き方によって分岐するものが計5つ。 時間切れでもう一度最初からのプレイになるのが1つ。 残り2種は各守護聖たちとの恋愛END。 その恋愛ENDがおそらくこのゲームの主要な結末なのだろうが**わしはよく知らない**。 普通にプレイしてロザリアと一緒に宇宙を見守っていく、その終焉でわしは充分である。 わが姉は恋愛ENDを迎えたのだろうか。可能性が高い相手は親密度200いってたジュリアス(※呼び捨て)だと思うが、わしは覚えていない。 ### 続編での扱い 『アンジェリークSpecial2』という、新たな女王試験が繰り広げられる続編がある。 その世界観では前作主人公のアンジェリーク・リモージュが女王,ロザリアは女王補佐官となっている。 一度はその結末を迎えたプレイヤーが多そうな設定であり、それ自体は無難なやり方だと思う。 #### 攻略対象の流用 守護聖は前作から全員続投している。なおかつ**全員が恋愛の対象**となる。 しかし女主人公は前作とは別人の、アンジェリーク・コレットという茶髪の少女だ。 前作で守護聖との恋愛ENDを迎えていたプレイヤーにとっては**急に湧いてきた女子に意中の人をとられる**といった事態になりうる。 この仕様は賛否を呼んだ模様。 いくらコーエーが使いまわし上等のコピーゲームが大得意な会社とはいえ、これは乙女心を軽んじた判断だったのではなかろうか。 これが純然たる恋愛シミュゲーのときメモシリーズだと、新作になるごとに攻略対象を刷新していた。 わしが何作か動画で見た観測範囲によると、過去作品のキャラが登場することはあっても攻略は不可だったと思う。 コーエーがそれまでリリースしてきた看板ゲーム『三國志』や『信長の野望』シリーズでは同じ武将を登場させ続ける。顔グラや能力値が何作も同じなことは多々ある。 そういった素材流用に慣れきっていた感覚があだになったのだろうか? しかし己の勢力を広げる国盗りものだと見れば恋愛うんぬんはどうでもよいことに思える。すくなくともわしはそう。 制作者も恋愛ゲームというよりは陣取り合戦だと思って作ってたのかもしれない。 純粋な恋愛ゲームでないからこそプレイヤーの間口が広がった利点もある。一長一短である。 ### ニンテンドースイッチオンラインの配信 2024年9月18日に配信が開始された。SFC版の『アンジェリーク』がオンライン加入者ならプレイできる。 この記事の内容をなんにもわからなかった未プレイヤー層でも今からプレイ可能。 当時にしてはクオリティの高いドットの顔グラを堪能してみたらいいかもしれない。 わしはこのころのロザリアちゃんの怒り顔が好きなのだが、これ以後は普通のグラフィックになっており、少し残念な気持ちでいる。 余暇のある人は大陸育成でロザリアに優位をとり続けて、その顔グラを見てみてほしい。 動画でもいい。今の時代にはあまり見られない貴重な表情かもしれない。 怖いもの見たさに笑顔のジュリアス(※呼び捨て)や怒りのパスハを見るのもいい。 うん、ジュリアス(※呼び捨て)の笑顔が怖いもの扱いってなんなんだろうか。 ゲーム #SLG #アドカレ2024