15.SFCマリオペイント+α【アドベントカレンダー2024】 2024/12/20 B! P L 『マリオペイント』は、任天堂が1992年7月14日に発売したスーパーファミコン用ソフト。 開発元は任天堂(開発第一部)とインテリジェントシステムズ(以下IS)。ISはファイアーエムブレムシリーズの会社で有名。 このソフトはSFC初のマウス専用ゲームであり、スーパーファミコンマウスとマウスパッドが同梱された。 ## ゲームの特徴 名前に「ペイント」とつく通り、お絵描きをすることがおもな遊び方。ゲームジャンルはお絵描きツール。 現在ではペンでデジタルイラストを描くのが普通だが、今作はマウス描き一択。 **お絵かきスクリーン**におけるお絵描き機能は以下の通り。 16色(透明含む)の固定カラーパレットを使用。 ペン、スプレー、直線、四角形、円、楕円などの描画ツール。 スタンプ機能(マリオの顔や自作のスタンプなど)。左右上下反転もできる。 塗りつぶし機能(単色またはパターン)。 部分的に消す消しゴム機能と全消し機能および1段階の取り消し機能。 ### その他の機能 **アニメーション作成** ゲーム内には「アニメーションランド」というモードがあり、4/6/9分割した画面に絵を描いて簡単なアニメーションを作成できる。 **音楽作成** 「サウンドコラージュ」モードでは、五線譜上に音の鳴るアイコンを配置して簡易的な音楽を作曲できる。 音は13音階(半音は無し)。最大3音の同時演奏が可能。 曲の長さは96拍以内でテンポ変更も可能。 **塗り絵** 標準で白黒の線画のイラストが用意されており、自由に色を塗れる。 線画は4種類。マリオがヨッシーにまたがる『スーパーマリオワールド』な絵のほか、アクアリウム、動物、デコレーションケーキがあり、絵を描けなくとも色塗りで遊べた。 **ハエたたき** 画面内を飛び回るハエをクリックで叩くミニゲーム。 当時の一般プレイヤーにとって馴染みの薄かったマウスを、楽しみながら操作になじめる。 ### 遊び心満点のUI 前の画面にもどるアイコンは黒いバクダンのマーク,一手順もどるアイコンは犬のマークで表すなど、独自のデザインだった。 この犬のマーク、プレイヤーがなにも操作しないでいると勝手に動き出すのも愛嬌があった。 また、マウスの動く速さを3種類の動物(亀・うさぎ・チーター)で表現したり、BGMを無くす選択肢はマスクをした犬の絵で表したりと直感的に操作できた。 #### タイトル画面 タイトル画面には様々な隠し要素がある。 文字をクリックすることで異なるエフェクトや音楽の変化を楽しめた。 エンディングのない今作ではスタッフロールもこの画面で見られる。 #### アッフン アッフンとはスタンプの絵およびサウンドコラージュにある音の出るアイコンのうち、ハゲてて豚鼻な人のような顔をしたアイコンのこと。 当初は正式名称がなかったが、ファン間で呼ばれていた通称が公式採用された。 ほかのアイコンはみな順当にかわいらしいのだが、これだけは唯一シュールな見た目。 奏でる音色も「アッハーン」といったよくわからない音。 この異質な外見と音にインパクトがあり、デフォルトで用意された音楽をすべてアッフンで打ち直すプレイヤーもいたとか。 妙な中毒性のある存在であり、作品性を受け継ぐ『メイドイン俺』にも登場する。 ## 他のペイントソフトにない部分 描画に関しては業務用のペイントソフトには及ばない性能だったが、遊びの方面に特化したアイディアがちりばめられていた。 その事例をここに並べる。 ### 効果音 ペンやスプレーで描画するとき、その画材ごとに異なる音がなる。 描いてる感のある音が純粋なお絵描きとはべつに楽しく感じる要素だった気がする。 #### ハケのコミカルな動き 塗りつぶしをするとき、一瞬で終わるものはただテュクテュクとした効果音が流れる。 しかし塗る面積が広くて塗り完了に時間がかかる場合、ハケを模したマウスアイコンに手足が生え、顔が浮かび、ちょこまか動きだす。 わしはそれを見たくてわざと塗るのに時間がかかるところを塗ってた覚えがある。 ### 豊富な全消し演出 描いた絵をすべて消す際に、ロケットのアイコンを選ぶとロケットの上昇に合わせて絵が下から真っ新になっていくなどユニークな全消し表現が9種類あった。 普通のペイントソフトなら一瞬で消えるのが作業時間的にありがたいが、これはゲームなので視覚的に面白く消えていくのもまた楽しみになった。 ### ロード画面&セーブ画面 タイトル画面からお絵描き画面へ移行する際、二人組で腹筋をする人が現れる。 変わったBGMが流れることもあって、見てて退屈しないロード画面。 おそらくゲームの起動に時間がかかるのを、プレイヤーにそう感じさせないよう配慮したもの。 セーブ画面もまた、それ専用のセーブロボットが描かれ、セーブが完了するまでどれだけかかるかの数字を出してくれる。容量オーバーでセーブに失敗すると失敗演出もする。 これもプレイヤーを飽きさせない仕掛けだったと思う。 ## 周辺機器のいるゲーム 『マリオペイント』の発売当時、まだパソコンやデジタルイラストは一般的ではなく、高価だった。 それを一般家庭向けに手頃な価格で2DCG制作システムを提供した画期的なソフト。 接続機器はマウス型のコントローラーなので普通のコントローラーを挿すゲーム機本体部分に接続すれば簡単にプレイできた。 この『マリオペイント』のほかにも、従来のコントローラーではない特殊な形で遊ぶゲームがあった。 わしが触ったことのあるものは**スーパースコープ**。バズーカ的な銃のコントローラー。 このスーパースコープでのプレイに対応しているソフトは7種類(日本未発売を含めると8種類)あったそう。 いずれも発売日が1993年に集中していて、最後に出た対応ソフトは『ターミネーター2・ジ・アーケード』(1994年2月25日発売)だったらしい。 なおスーパースコープのローンチタイトルは『**スペースバズーカ**』 (英題:Battle Clash)。 発売日が日本は1993年6月21日で、北米では1992年10月だったそう。このゲームも開発は任天堂開発第一部とIS。 ### ヨッシーのロードハンティング わが家で遊んだのは『ヨッシーのロードハンティング』。1993年7月14日発売。 ヨッシーに乗ったマリオの一人称視点で進行する内容。 画面に向けて敵や敵の攻撃を撃つシューティングゲームだった。 このバズーカ型コントローラーは肩に担ぐのを標準的な持ち方としていた。コントローラーにしてはけっこうな大きさ。 リアルキッズだったわしは体格とプレイ環境の都合であんまり遊べていない。 『ヨッシーのロードハンティング』はスーパースコープの電池の消耗が激しくプレイのたびに交換必須だったり、赤外線受信機をテレビのそばに設置するなど手順があったので、そのへんの仕組みをよくわかってない子供一人ではやれなかった。 ### スーパースコープのあるゲーム 作中にスーパースコープが登場するゲームがある。 一つは『大乱闘スマッシュブラザーズ』のシリーズにある射撃アイテム。 本来の使い方は肩に構えるが、キャラごとに肩の位置が違って射線が当たらなくなるなどの問題を回避するため、おのおの変わった持ち方をするという。 もう一つは、『スプラトゥーン3』から登場するブキの【S-BLAST92】……のモデルになった。 直接的にスーパースコープとは呼ばれず、ブキのデザインが似るだけ。 通常撃ちでは長射程で爆発範囲の狭い攻撃、ジャンプ撃ちすると短射程で爆発範囲の広い攻撃になる。ハシラを倒すときはジャンプ撃ちしよう! 名前の「92」は北米でスーパースコープが販売されはじめた1992年を指すのではないかとファンから予想されている。 ## 続編と意匠を継ぐゲーム 『マリオペイント』の続編にあたるゲームは**マリオアーティスト**シリーズだそう。 正直わしはこの記事を作るまで**そんなのあったっけ**と本気で知らなかった。 対応機器はNINTENDO64、かつ周辺機器64DD専用のゲームソフトだったそう。 一般販売しなかったゲームだというので実際にプレイできた人は限られる模様。 その後は『メイド イン ワリオ』のシリーズの一つのDSソフト『**メイドイン俺**』(2009年4月29日発売)にお絵描きや作曲のシステムが受け継がれた。 『マリオペイント』をベースに作られたことは社長が訊く『メイドイン俺』にて語られた。開発は『マリオペイント』と同じく任天堂とIS。 ほかにも、『**マリオメーカー**』にてタイトル画面でアルファベットを触ると変わった演出が起きたり、ロード画面で腹筋or腕立て伏せをする人が現れたりする。1つ前に戻るボタンの犬を「アンドゥ犬」と命名したのもこのゲームから。 『**マリオメーカー2**』ではさらに『マリオペイント』に見られたセーブロボットやアイコンのカエルがキャラクター化された。 ### 個人的願望 『マリオペイント』の直系のシリーズは今現在なくとも、その象徴になるものは他の作品にも残っている。 ペイントソフトが大量にある昨今、きっと『マリオペイント』の続編はもう出なさそうだ。 いろんな任天堂作品のスタンプを使えるペイント機能や塗り絵には需要がある気はするのだが、それをゲームという形で提供する意義があるかどうかが問題なのかとも思う。 採算は知らないわし個人の希望では『スプラトゥーン1』で公式からお出しされたブキ全種+キャラの絵を塗りつぶしできる線画にして塗り絵にならんかなと思っている。 また塗りつぶしのハケでトュクトュク音を鳴らしてハケをダンスさせたい。でも今の性能なら塗りつぶしも一瞬か。 ゲーム #アドカレ2024