11.複合:SFCベルトスクロールアクションゲーム【アドベントカレンダー2024】 2024/12/16 B! P L スーパーファミコンには横スクロールのベルトアクションゲームが複数あった。 この記事ではわしがプレイ経験のある、版権物のソフトを3種紹介する。 『ザ・グレイトバトルII ラストファイターツイン』,『セーラームーン』,『セーラームーンR』。 そして不肖ながらわしはプレイしたことがないものの、ベルトスクロールアクションゲームを世に広めた『ファイナルファイト』についても触れる。 ## 版権物のアクションゲーム 80年代後半、世はベルトスクロールアクションゲームに湧き上がっていた。 90年代の格闘ゲームブームに前後しており、両ジャンルとも格闘することは共通した。 それが一対多か一対一か、そして闘う相手が対CPUか対人かで大きくゲーム性が異なった。 次第に対人格闘ゲームのほうに人気が集まり、ベルスクゲーは静かにフェードアウトしていった感があった。わしは当時の空気感を熟知していないものの、ファイナルファイトシリーズの続編の『タフ』が「発売されてたのを知らなかった」と言われる程度には知名度が高くなかったことがうかがえる。 当時は著名な版権物のゲーム化もすすんで行なわれ、その結果にバチボコに殴り合うヒーローたちが生まれた。 もともとバトルをするガンダムやウルトラマンの出る『ザ・グレイトバトルⅡ』はわかる。 しかし少女漫画かつ**敵を魔法的な攻撃で浄化することが多い『セーラームーン』も**アクションゲームが複数出ていた。 わしはガンダムも特撮もセーラームーンもくわしくないのでれっきとしたファンに向けたことは書けない。簡素な説明になるがご了承ください。 ### _ザ_・グレイトバトルII ラストファイターツイン 1992年3月27日にバンプレストから発売されたアクションゲーム。開発元はさんえる。 ロボットアニメや特撮作品のキャラクターが戦うクロスオーバー作品であり、SD(スーパーデフォルメ)に描かれたコンパチヒーローシリーズの一つ。 今、説明するゲームは「**グレイトバトル**」シリーズに細分化され、ソフト名に「Ⅱ」とつくとおり前作がある。そして続編もある。 初代が1990年12月29日発売の『SDザ・グレイトバトル 新たなる挑戦』(※notベルスクゲー),最後に6とナンバリングされた1997年4月11日発売の『ザ・グレイトバトルVI』(※PS&notベルスクゲー)まで、数多くのシリーズが出た。 『ザ・グレイトバトルⅡ』の操作キャラクターは**ガンダムF91**のほか、円谷プロダクションの**ウルトラマングレート**,石ノ森章太郎氏が特撮の原作に関与した**仮面ライダーブラックRX**, そしてゲームオリジナルキャラクターの**ファイター・ロア**の計4名。 前作ではできなかった二人同時プレイが可能となる。 #### 他にはない特徴いろいろ 他のよくあるベルスクゲームだと一面から通しで最終ステージまでのクリアを目指す。 このゲームでは**パスワードによるゲーム再開が可能**。 4人のいずれかの操作キャラクターの顔が正面・後ろ・左・右に向いているのを10個組み合わせる。 「(ガンダムが後ろを向いてる)ガ↑」やら「(仮面ライダーが右を向いてる)ラ→」などとメモする人がいたことと思う。というかうちの兄がそうしていた。 この作品の独自性を表したユニークなパスワードである。 しかし**実際に記録する時にはややこしい**。 個人的にはロックマンシリーズなどにあった**数字のパスワードのほうがありがたい**。 数字オンリーやアルファベットオンリーなほうが記録しやすいと思うが、人によるだろうか。 間違いなく良いところもあり、一つだけになりがちな通常攻撃のボタンをパンチ(Aボタン)とキック(Bボタン)の二つを搭載。 敵キャラがよくしてくるスライディングキックも自キャラでやれる。多彩なアクションが魅力。 そのほか、画面全体を攻撃する必殺技(Eカプセル消費)は各キャラ3段階まである。 おまけに操作キャラクターを随時変更できる。体力やEカプセルの所持数は維持される。 今作で二人協力プレイが可能になり、それに合わせて合体技という新仕様もできた。 仲間と力を合わせて闘う楽しさがより生まれた……はずだったのが、このゲームは**仲間割れ**の要素もある。 味方の攻撃が**普通にべつの味方に当たる**のである。 味方への攻撃はノーダメージなゲームが多いと思うが、そうでないのが妙にリアル。 #### ロアに対する勘違い さきに宣言したようにわしはガンダムや特撮物にはくわしくない。 そのためオリキャラで青髪のロアを「ゴツゴツした体してるし知らないガンダムシリーズのキャラなのかな?」とずっと思っていた。 どうやらこのキャラはこのコンパチシリーズにおける、**バンプレスト側の主人公キャラ**なんだそう。目元の黒い隈取りがパンプレストのロゴデザインを模している。 そんなことは露とも知らずに「他の3キャラは見たことあるから珍しいキャラを使おう」と率先して操作していた。ガンダムですらなかった。 よく考えればロボットに髪の毛はいらない。機体にはありえないデザインである。 ヒゲ付きのガンダム(∀ガンダム)はいたにしても。でもあれはヒゲじゃなくて”日本の戦国武士の兜の両頬にある「吹き返し」のオマージュ”だそう。ソース→『∀ガンダム』実は「ヒゲ」じゃなかった? ファンの「誤解」も多い、異色デザイン秘話 ### セーラームーン 1993年8月27日にエンジェルから発売された。開発はアークシステムワークス。 セーラームーン,セーラーマーキュリー,セーラーマーズ,セーラージュピター,セーラーヴィーナスの5人の中から1人を選んでプレイする。2人同時プレイも可。 おおまかな性能はムーンがバランスタイプ,マーキュリーがスピードキャラ,ジュピターがパワーファイターというふうに分かれる。 マーズは通常攻撃が蹴りでリーチ長め,ヴィーナスは**通常攻撃のチェーンがものすごくリーチ長い**という強みがあった。(鎖は)ダルシム並みに伸びるよ! #### なかよしという難易度 タイトル画面で、Xボタンを押しながら「おぷしょん」を選択すると、難易度の「やさしい」が「なかよし」に変わる。 「やさしい」と同じように、敵の体力が半分になり、Y+Bボタン同時押しで出る体力消費技を敵に当てても自分のライフを消費しなくなる。 そのうえで「やさしい」だと2ステージまでで終わりになるところを、最終の5ステージまでプレイ可能となる。 簡単な難易度だとゲームを途中までしかプレイさせてくれないものも多い中、最後まで見せてくれる良心的なモード。 『セーラームーン』が漫画雑誌『なかよし』で連載されていてよかった。 #### 拾える武器 特定の攻撃で特定の雑魚敵を倒すと**ハリセン**という武器をドロップする。 このハリセンはサイズ的に昭和の漫才でツッコミをするときに使うアレである。リアルでは当たっても殺傷能力はないがこのゲームでは強力。 自キャラが使える武器が鉄パイプや日本刀などの殺意マシマシ系でないところが低年齢層も対象な作品らしい。 なお武器システムは今作限りで、次作の『セーラームーンR』では無くなった。理由は不明。 #### 壊せる車 最初のステージの前半戦にあたる商店街最後のほうに、車が設置されてある。 この車には自キャラの攻撃がヒットする。壊すと得点が増えるらしい。そうとは知らずに余った時間によく壊していた。 もしかしなくても元ネタは『ファイナルファイト』や『ストリートファイターⅡ』の車を破壊するボーナスステージな模様。 ### セーラームーンR 1993年12月29日にバンダイから発売された。開発元は前作と同じアークシステムワークス。次作の格闘ゲーム『セーラームーンS』の制作にも携わった。 前作の通常攻撃の格差は是正され、リーチの長かったマーズもヴィーナスもパンチをするようになった。 ただしヴィーナスはジャンプ攻撃で鎖を使うため、部分的に長射程を維持した。 今作の追加要素はまだセーラー戦士の力に目覚めていないちびうさも操作できること。傘を使って戦う。 そのほか、1人プレイモード限定でXボタンを押すと画面全体への攻撃技の超必殺技が使えるようになった。回数制限あり。 本編とは関わらない「たいせんもーど」で、ベルスクゲーの操作感そのままに2Pと対戦格闘もできる。 #### 味方を投げる 前作も2P同時プレイはできたが、このときは味方に一切触れられなかった。 今作は**味方をつかんで投げることが可能**になった。しかし投げてもダメージは入らない。 投げられた側が着地前に攻撃すれば敵への奇襲になる。実用性ないけど。 そういう力技な協力プレイもできる。バトル漫画にぼちぼちありそうな連携プレイだが**原作の『セーラームーン』はバトル漫画ではない**。 #### 撤廃された難易度なかよし 前作にあった、体力消費技を敵に当てても自分のライフ消費なし+低難易度でも最終ステージまで行ける仕様はなくなった。 難易度は「やさしい」・「ふつう」・「むずかしい」の3種に減り、「やさしい」でも体力消費技はしっかりライフを消費する。 おそらく今作の調整なら救済モードがなくてもいいと制作者側が太鼓判を押したのだろう。しかしなくす必要が果たしてあったのか。 「やさしい」では2面までのプレイになる。アクションに自信のない人はそこで終わりである。 ゲームに不慣れな層も対象客になりうる版権物。あったほうがよかったんでないかと思う。ある分には低難易度を好まない人が選ばなければ済む。 『セーラームーン』の掲載誌が『なかよし』でなくなった、といった事情があればやむを得ない変更だろうけれど、そんなことは起きていなかったようだ。 ## ベルトアクションの雄ゆう・ファイナルファイト 『ファイナルファイト』は、1989年12月14日にカプコンからアーケード稼働されたベルトスクロールアクションゲーム。 さらわれたハガー市長の娘・ジェシカを救うため、父であるマイク・ハガーと,ジェシカの恋人のコーディー,そしてコーディーの友人の忍者のガイが犯罪組織マッドギアを相手に闘うストーリー。 それまでのベルスクゲーのキャラクターが小さいグラフィックだったのに対し、このゲームはリアルかつ大きなドットグラフィックでキャラクターを描画した。画面を何人ものデカキャラで埋め尽くすインパクトがあったという。最大10人まで敵キャラが現れたと。 そのうえで簡単な操作性,複数人の相手を一度に殴り飛ばす爽快感などで多くのプレイヤーを魅了した。 ### 容量の厳しかったSFC移植 1990年12月21日にSFC版『ファイナルファイト』が発売された。 そのROM容量は8メガビットだったといい、入れられるデータが少なかった。 ソフト一本に収めるため、(闘う理由付けが弱い)操作キャラクターのガイを削除し、2人同時プレイ機能を無くし、ラウンド(=ステージ)数を減らすなどの工夫がなされた。 しかし主人公のコーディーより人気があったというガイが使えないことにプレイヤーの不評が募り、ガイが使えるバージョンの『ファイナルファイト・ガイ』も1992年3月20日発売。 今度はコーディーが欠場する。主人公だけどしょうがない。 その後も他機種に移植がなされ、いずれも使用キャラ3人を維持した内容だったそう。初期のSFCは本当に容量がカツカツだった模様。 ### Street Fighter'89 『ファイナルファイト』制作当初は初代『ストリートファイター』の関連作のつもりで作られていたそう。 そういった話題のある公式サイトの記事がこちら→ROUND 2:伊津野英昭さん 前編 主題は『ストリートファイターZERO』の話になっている。ソースチェックだけしたい人はページ内検索してください。 『ZERO1』では『ファイナルファイト』から操作キャラクターの一人のガイと、激つよボスだったソドムの二人が格闘家として選出された。 一世を風靡した『ファイナルファイト』ゆえに、この参戦には驚きと歓喜をもって迎えた人たちもいたことと思う。 わしはどうか、と言うと**他ゲー出身者だとわかっていなかった**。 #### ファイナルファイトのない我が家 実のところ、わしは先に話題に出した3作をプレイできたときはまだ『ファイナルファイト』を知らなかった。SFC版も家になかった。 うちにあった『ストリートファイターZERO2』には『ファイナルファイト』初出のガイとソドムのほか、ロレントがプレイアブルになっているのを、普通に新キャラだと思っていた。 『ZERO1』キャラの一枚絵が閲覧できるギャラリーには未登場の『ファイナルファイト』キャラも背景に描かれたが、当然そんなことはわからない。 天井からぶら下がっている? ガイの顔に隠れる白シャツジーパンな人物をコーディーだとは気づけなかったし、暑がってて下半身はふんどし姿なソドムのそばに立つピンク髪の女性をポイズンだとも思ってない、というよりまず知らなかった。 わしの兄はどうも『ファイナルファイト』を知ってはいたらしい。プレイ経験もあるっぽい。 のちのちハガーの名前をわしが出したとき、名前ではピンときてなかったが「半裸で片方だけサスペンダーつけてるマッチョな中年」と特徴を伝えると「そういうのいた気がする」と思い出していた。 ### 意外と上品な闘い方 プレイヤー側は武器としてナイフ,鉄パイプ,日本刀を道中で拾って使える。 敵専用の攻撃手段には火炎瓶や手榴弾などがあり、なんでもありの闘いが繰り広げられる。 でも良識的な部分もある。 **味方を投げない**。当たり前のシステムのようでいて、この記事を最初から読んできた人はそうでもないと感じられるかもしれない。 そう、**『グレイトバトルⅡ』はプレイヤーが同士討ちできるゲーム**であり、**『セーラームーンR』はダメージこそ入らないが味方を投げる**ことができた。 両作品ともターゲット層に低年齢な客が多そうな、ポップなタッチの作品だ。 一方で『ファイナルファイト』はリアルタッチの、大人でダーティーな世界観。 なんか**逆じゃないか**とわしは感じる。超個人的な意見。 #### 勝手にアウトローな想像 一時期のわしは子供向けのゲームでこうなら、登場キャラも20歳↑ばかりな大人の『ファイナルファイト』はもっとスゲーことをやるのかと思っていた。 そこはプレイングの快適さを(きっと)気にするカプコン、味方への攻撃は一切できないように配慮してあった。 コーディーのことは『ストリートファイターZERO3』のやさぐれ囚人状態から知ったわしは「コーディーなら味方を投げて敵に攻撃とかするんじゃないの?」や「ハガーはコーディーにだけはジャイアントスイングして周りの敵をなぎ倒しそう」などと**暴力的なイメージを勝手に膨らませていた**。 実際はそんな道徳心の足りない闘い方はしない。 このころはまだコーディーも清かったんだ、しょうがない、と書くと**まるでストシリーズのコーディーならやりそうだ**というイメージを読者に植え付けそうだ。 実際のところファンのイメージ像はどんなのだろう。 ## FF以前の有名なベルスクゲー 当時のことをよく知らない者からすると「『ファイナルファイト』がベルスクゲーの元祖なの?」と思いがちかもしれない。というかわしがそうだった。 実際は違う。初代『ストリートファイター』が格闘ゲームの元祖と言うとマズイのと同じかそれ以上に違う。 一般的にベルトスクロールアクションゲームの元祖とは、正義の不良が主人公の『**熱血硬派くにおくん**』(ねっけつこうはくにおくん)だそう。 1986年5月にテクノスジャパンが開発しタイトー名義で稼働されたアーケードゲームで、その後は多彩なジャンルに分かれて「くにおくん」シリーズが確立していった。 うちの兄はベルスクゲーなくにおくんをやり込んでたそう。今もくにおくんは好きなようで、2022年7月21日に発売された『くにおくんの三国志だよ全員集合!』のことを気にしていた。 ### ベルスクゲーで復帰 3Dゲームが一般的になり、一対多なアクションゲームは無双系に成り代わった感のある昨今。 ベルトスクロールアクションゲームはもう作られなくなるのか? と思ったところにこのくにおくん新作。 中身はドット絵でベルスクゲー。2024年11月7日には『ダウンタウンスペシャル くにおくんの三国志だよ 満員御礼!!』も発売された。 前作は評判がよかったが新作のほうのバトルのバランスは賛否両論ある模様。 これがウケれば他の会社も追随を、となりそうだがそれはないかも。 格ゲーキャラが板についてきた『ファイナルファイト』勢は新作があるのだろうか? 『ストリートファイター6』が割合『ファイナルファイト』成分高めでやってるのと、ガイとマキが長年プレイアブルから締め出されている都合でなにか独立したゲームがあってもよさそうな気がする。 ゲーム #アクションゲーム #アドカレ2024