ゲーム界隈最多?悲惨ENDの持ち主のチャーリー・ナッシュ 2024/8/28 B! P L 『真・女神転生』のカオスヒーロー(愛称ワルオ)。 『ファイアーエムブレム 聖戦の系譜』のティルテュ。 『ファイナルファンタジーⅦ』のエアリス・ゲインズブール。 これらの人物はこのブログの管理人がプレイしてきたゲーム作品の中で特にわしの心に爪痕を残していった登場人物である。 彼らは物語を進めると悲劇的要素が出てくる。一応のネタバレ防止のためふんわりした説明で止めておく。 その生きざまにわしは共感し、好感をもった。それぞれの人物の細かい話は独立した記事で今後書くつもりでいる。 今、主題にするのは彼らと同等以上に不運体質な人物。 それが元祖格闘ゲーム『ストリートファイター』シリーズのナッシュ。 名前は『ストリートファイターⅡ』のころに触れられ、シリーズ参戦したのは『ストリートファイターZERO』からという少々回りくどい登場の仕方をした格闘家である。 ここからは**ネタバレする**。 ## ナッシュの概略 なにがどう不運かと言うと **よく死ぬ**。 よく死ぬと言うと貧弱だとか病弱のような弱そうなイメージを持たれるかもしれない。マリオシリーズの雑魚敵のクリボーなど。 しかし本人は健康で強そうなムキムキのマッチョマンな軍人である。 職業柄、危険と隣り合わせになりやすい……とはいえピンチの陥りやすさが頭一つ以上抜けている。 戦闘面の実力はあっても相手にする敵やタイミングが悪くて**死ぬ**はめになりがちなのだ。 ゲーム,各種メディアミックスともに悲惨な結末を迎える、そんな儚い命である。 ただし繰り返しになるが外見はとても儚そうには見えない。屈強さはジョン・ランボーみたいなもの。 ## 何度でも死ぬ男 ナッシュはあの個性的な逆毛頭をもつガイルの親友である。 ガイルについてはゲーム未プレイな人もどこかで見知ったことがあると思うので説明を省略。 ご存知ない方は「ガイル」と検索すればすぐ情報が見つかる。 なおナッシュは「ナッシュ」とググるとお弁当屋さん(nosh)が出てくる程度の知名度だ。天下にとどろくストシリーズ産のキャラといえど木っ端なもんです。 ガイルは一時期のキャッチコピーで【静かなる復讐者】を名乗っていた。 なんの復讐か? 死と密接な関係のある友人がいる、ときたら勘付く人もいるだろう。 そう、親友を死に追いやった者への復讐である。 『ストⅡ』のガイルはそんな重たいバックボーンを引っ提げて闘う男だった。 ### SFC版の設定 スーパーファミコン版の説明書には次のガイルの紹介文がある。 >同じ部隊の戦友「ナッシュ」を殺され、仇を討つべく旅に出た。妻や娘に別れも告げず……。「ベガという男に気をつけろ……男はサイコパワーを自在に……ぐふっ……。」ナッシュの最後の言葉だけが手がかりだ……。 当時こういう背景があったことを、公式による『ストⅡ』説明書PDFを見て、わしは把握しております。 家にはゲームソフトがあったんですけどね、リュウのリアルめな顔が描かれたデザインの。 でも説明書がなかったんですよ。この説明書の表紙の絵はまったく見たおぼえがない。 2Dのストシリーズで遊んでいたころはガイルの経歴を知らなくて、シリアスなキャラだとは思ってもみなかったもんです。 ついでに見つかった『ストⅡ’プラス』説明書と『スパストⅡ』説明書もよかったらどうぞ。 【静かなる復讐者】はこれの『スパストⅡ』で確認可能。それより前のバージョンでは使われてなさそう。 このように『ストⅡ』のナッシュは故人として存在していた。この時はまだ容姿不明。 『ストⅡ』の人気が増すといろんなメディア展開が行なわれ、ゲーム内では名前を呼ばれるだけだったナッシュも作中に現れるようになる。 ### メディアミックス ドラマCD『ストリートファイターII 復讐の戦士』, アニメ『ストリートファイターⅡV』, 実写映画『ストリートファイター ザ・ムービー』にもブランカと設定が悪魔合体した感じで出演したという。映画のナッシュは名前がカルロス・ブランカで愛称チャーリー(=海外でのナッシュの名前)と変更された。 当方の努力不足で実写映画とドラマCDは未視聴につき、伝聞による情報でご勘弁いただきたい。 『ストⅡV』は視聴済み。ジャン・レノに似てると評判の黒人な男性でした。 あと単体では刊行されていない雑誌の付録の『ストⅡ』漫画で作者はしろー大野という方が描いたナッシュも黒人だったらしい。 原作ゲームではナッシュの人物像が固まっておらず、それぞれの媒体で独自の容姿がデザインされた。 ガイルと親しい軍人であること以外は別人のようだった。 しかし共通点はあった。 **最後は死ぬ**。そこはブレなかったという。 ガイルが「親友の仇を討つために闘う戦士」という人物設定を主軸にする影響で、ナッシュの死は避けられない結末になった。 ## ⅡとZEROのはざま ナッシュが生き残る例外作もあった。 『ストⅡ』の派生作品でナッシュが死ななかったのは漫画『正伝 ストリートファイターII V』と、当時日本では放映されなかったアメリカのアニメの2点。 アメリカのアニメは2019年以降に『ストリートファイターUSA』のタイトルで動画サイトにて視聴可能となった。 どちらも当時の連載および放映期間が『ストⅡ』の次のシリーズ物の『ストリートファイターZERO』がリリースされた時期と被る。 ゲームにおけるナッシュは『ZERO1』に参戦し、外見が確定された。 その影響が漫画とアニメにも伝わって、**作中は『ZERO』の格好と似た服装で描かれる**らしい。 こちらの2作品もまだ現物での確認をとってません。アニメは見れる状態ですが漫画は無理そう。 ### 生存した理由 上記2作でナッシュが死ななかった理由はなんだろうか。 このうちアニメは真面目に見るもんじゃないキテレツな作品と評判である。 実写映画と地続きな続編で、映画内で死ぬ演出がなされたナッシュ(姿はブランカ)が何事もなかったかのようにブランカな外見で続投するそうだ。 まるで滅茶苦茶に攻撃を受けた人や建物が次の回,次のコマでは平然としているギャグマンガのようだ。 きっとストシリーズ版の『ボボボーボ・ボーボボ』のようなアニメなのだ。 真剣に理解しようとすると精神がおかしくなる危険ありだ。 ナッシュの生存についても特になにも考えていないかもしれない。これはそっとしておこう。 しいて理由を挙げれば**トンチキアニメだから**でいいんじゃなかろうか。 え? ナッシュがブランカ姿なのにさっき説明した、 >作中は『ZERO』の格好と似た服装で描かれる とはどういうことかって? もとの姿に戻るシーンがあるそうです。そのカラーリングがとあるゲームのキャラと似てるんですが別記事で解説。 漫画は明確な理由があるという。たまたま有志がピックアップしたページに事情が載っていた。 漫画がアニメとのタイアップ企画だったため、アニメの放映終了と同時に連載も終わることになり、その終了時期を漫画連載サイドが1か月遅く見積もっていたせいだとか。 ようは**ナッシュの死ぬところを描く余裕がなくて結果的に生き残った**、と。**予定通りにいけば死んでいた**と。 番狂わせで生き残った、ナッシュにとっては希少な事例である。 #### 閑話―生死の描写について 作者の意に反して死ぬ予定だった者が生き残ることは創作界隈でたまに起きる。 高名な田中芳樹著の小説『銀河英雄伝説』は決して打ち切り作品でなかったものの、死なせるつもりだった人物を2名ばかし死なせそこねたそう。 それがいいことか悪いことは場合による。 大河ドラマなどで言われるナレーション死(=死ぬシーンが描かれず人物が死亡したという説明がされる)をするくらいなら生き残ったほうがファン感情ではうれしいだろうし、散り方が物語の山場や見せ場になるなら地味な展開で終わるよりいい、と感じることもある。 ハッピーエンドが好きな人は「死ぬほうがいいことなんてあるの?」と思うかもしれない。 ある。確実にある。この人物にはこの最期以外は無いと思える物語はある。 例えば『うしおととら』という漫画。原作は長いので手軽に知りたい人は内容を圧縮したアニメがよし。それでも全39話で長いが。 ネタバレ防止のために名を出さないが主要人物の一角ではある。担当声優のwikipediaでは太字で表示されてあった。 でも生存ルートが本気でダメというわけでもない。未亡人とのセカンドライフがあってもわしは受け入れた。 ナッシュはどうだろう。死んだほうがおもしろくなる? でも『ストⅤ』の退場の仕方は演出がしょーもなかったな…… あんまりにも雑なもんでわしはショックで『ストⅤ』もナッシュのことも思い出さない期間があった。人間、ひどすぎるもんを目の当たりにすると文句が出る前に落ち込むのかと今なら思う。 やっとこさ思い出したのが2022年2月『スト6』発表の一週間前ぐらいでした。 そのとき「このまんまだとナッシュは忘れられていくんだろうな」と思った。 ナッシュがいた痕跡を残しておきたくてモタモタ文章を書いていてこういうブログを立ち上げるに至った。 ## ZERO以降の扱い なにかと死の影が付きまとうナッシュだったが、その後は少しだけ風向きが変わってくる。 『ストⅡ』のブームが落ち着くころ、『ストⅡ』以前の時代を舞台にした『ZERO』がリリースされた。 ここでナッシュは数々のメディアミックスで描かれた人物像のどれでもない姿で現れた。 金髪碧眼の白人男性、はありふれていて没個性的かもしれない。しかし他の部分にインパクトがある。 ひときわ目を引く前方に飛び出た前髪に、戦闘中は外す伊達眼鏡、野性味を感じる裸ベスト。 『ストⅡ』時代にバラけていたナッシュ像を大きく塗り替える奇抜さだ。 特に上半身裸でベスト(またの呼び方をノースリーブジャケット)を着るのは凡人には思いつかないファッションだ。 さすがデザイナーの名声が抜きんでていたカプコン製のキャラクター……と思いきや似たような裸ベストのゲームキャラが『ZERO』より前にいたりする。 このキャラの話はまた後日。ちなみにコナミさんとこの子です。 セガの『バーチャファイター2』初出のリオン・ラファールではありません。彼は前を閉めているので常識的なファッションとして扱います。 逆説的にナッシュのファッションを非常識だとわしは言っているも同然ですがその通りです。 こういう世界観だからと気にならなかったですけどね、昔は。キャミィなんてお尻全開じゃないですか。そういうもんなんだと思いました。 ナッシュが変わったのは見た目にとどまらなかった。 各キャラのアーケードモードをクリアした際に見られるエンディング中、**ナッシュは生死不明な描かれ方をするようになった**。 確実な死の描写から、もしかしたら生きてるかも(でも死んでる可能性もある)といった方向に。 多少は希望の見える終わり方になった。 それでも不憫な終わり方である。せっかくプレイヤーが懸命に勝ち進んでいった結果が不幸せで後味の悪い内容だ。 その傾向はマーベル社とのコラボ作品の『マブカプ』シリーズにも受け継がれた。 ### マブカプ紹介兼宣伝 このシリーズは2D時代の作品をセットにした移植作が出る。↓公式サイト。 MARVEL vs. CAPCOM Fighting Collection: Arcade Classics 他社版権絡みなせいか詰め合わせ移植はこれまでなかった作品。 こういうのがありなら版権の管理が大変そうなキャプテン・サワダもそのうちまたゲームで会えるかもしれない。 このめでたきリリースに向けてテンションアゲアゲで応援姿勢をとりたい。 興味のある人はチェックしてみよう! ナッシュのエンディングがあるのは『Xスト』と『マブスト』だよ! 公式サイトの並びでいうと6つ中の真ん中2つの作品だ! え? 公式サイトの『マブスト』の登場キャラクター一覧にナッシュがいないって? 隠しキャラでちょっとしたイメチェンをして登場するハズだよ! 憲磨呂も一覧にいないけど憲磨呂はどうなるかわからないよ! マーベル社さんが激おこぷんぷん丸になったオリキャラだからね! あれから何年も経って、今は和解してたら続投できてるかも? →居ましたよ! 特典のギャラリーにも憲麻呂の絵があるよ! あと『マブカプ2』にナッシュがプレイアブルでいても個別エンディングはないよ! 全キャラ共通使いまわしENDだよ! キャラ数が多いから仕方ないね! 個別エンディングを用意できないからキャラを削減するってよりよっぽどいいと思うよ! ナッシュがちゃんと生き残れるしね! ついでに『マブカプ1』にはイメチェンしたナッシュが操作はできないけど一応出るよ! ## グッドエンドもあるけど…… 数々の不幸な描き方をしてきたお詫びと言わんばかりに、ナッシュが無事ですむ結末ものちのちできた。 そのエンディングがある作品は『ZERO3』とアクションシューティングゲーム『ガンスパイク』。 「原作はこうだったけどこういう展開も見たかった」というプレイヤーの希望に応えるような内容だった。 他の有名なゲームだと『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』に対する『ゼルダ無双 厄災の黙示録』もそんな感じだ。 ただゼルダ作品と違うのは、やっぱりいつものパターンなやつも同じ作品内に用意されているところ。 ナッシュと不憫な展開は大根おろしと醤油くらい切っても切れない仲なのだろう。 ### 2009年の映画 一応はナッシュが登場したことになっている作品が他にもある。 『ストリートファイター ザ・レジェンド・オブ・チュンリー』という春麗主人公の実写の映画。わしは未視聴。 低予算のB級映画だそうです。 「ストシリーズが好きだから」という理由だけでは見ないほうがよさそう。 どのへんがファン向けでないかいえば、Amazonや映画レビューサイトの評価によると**原作通りの登場人物はいない**らしい。 筆頭が主人公の春麗で、職業:ピアニストという原作要素のない設定になっていた。 その上さらにトレードマークのチャイナドレスはぜんぜん着ないそう。 この映画のナッシュも職業がICPOの捜査官(※本来の春麗の職業)かつガイルの友人じゃない。 名前がナッシュなだけで、これがガイルでもケンでも通用しそうな別人具合のようである。 こちらは名前を借りた別物と勘定したい。 ## 今後の展望 ナッシュに出演の機会があるのかまったくわからない。 基本的にガイルがいたらナッシュはいらない人だ。 この二人は同じソニックブームの使い手で性能が似通う。 『ストⅤ』では差別化を図られたものの、あの性能のままでの今後の参戦は難しそうな設定だった。 そもそも『ストⅤ』の物語だと続投不可能な演出がなされた。 元気なナッシュを出すならゼルダの『時のオカリナ』時空ばりにifルートを作るか、外伝やお祭りゲームを作るか。そういうひねりが必要になってきそう。 そこまでしてゲームに登場させる意義があるかと言ったら謎だ。 ガイルのほうが人気は上なのだ。 特にアメリカではリュウより主人公な扱いを受けることもある。 『ストⅡ』全盛期の実写映画とボーボボ的なアニメ(※わしの偏見)がまさにガイル主人公な作品だ。 登場の優先度はガイルのほうが高い。 いわばガイルがマリオでナッシュはルイージである。 ひょっとするとナッシュをルイージと並べるのは任天堂への失礼にあたり、実際はノコノコの羽が生えたヤツ(=パタパタ)相当だったりするかもしれない。 期待値は低めに、今後新規のナッシュがお目見えしないものだと考えてわしはナッシュのことを語ろうと思う。 時にはイジりになることもある、というかこの記事ですでにいくつかイジっている。 こういう調子でいろいろと話のネタにしていって、読者の記憶の片隅に残っていけば幸いである。 Street Fighter #ナッシュ